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2006/10/21

ユーザビリティ・テスト -テストを見るときの心得-

 ユーザビリティ・テストは、自分の目で見ることが大切である。

 ユーザビリティ・テストを依頼すると、ユーザビリティ・スペシャリストが担当となって、目的・シナリオ・テスト・レポートまで、きちんと面倒を見てくれる(はずである)。
提出されるレポートを見れば、あまり時間をかけずに行ったユーザービリティ・テストの詳細を知ることができる。自分の時間を極力使わないようにするのも一つの方法ではある。しかしながら、私が思うに、それは非常にもったいないユーザビリティ・テストの使い方である。
実際にユーザビリティ・テストを行っているところを、リアルタイムで自分の目で確認することを、私は強くお勧めする。そして、自分でレポートがかけるくらいに細部にわたって観察をするのである。スペシャリストのレポートを当てにしないということではない。それぞれに異なる観点からテストを観察することで、一回のテストを何倍にも有効なものとすることができるのである。

 以前にも別な何かで記述したことがあると思うが、「言葉や文章にすると、知っていること や 思っていることの半分から八割しか伝わらない」 という制約がどうしてもレポートには付きまとう。より100%に近い理解を得ようとすればやはりその現場に立ち会うのが一番である。
開発担当者 と ユーザビリティ担当者 の立場の違いを具体的にいくつ列挙してみる。

・ テストしているソフトのことは、開発担当者がよく知っている
 ユーザビリティ担当者も、担当者としてそれなりにテストするソフトウェアの目的や使い方、現状での問題点などをまず理解するが、短時間ですべてを理解することはできない。そのソフトウェアを一番よく知っているのは、やはり開発担当者である。(というか、『でなければならない。』)
そのことが何を意味するかというと、ユーザビリティ担当者では気がつかない開発側が想定していない使い方を被験者がしたときである。 「あれ? あの機能はそんな使い方を想定していないぞ?」 とか 「それを実現するにはそっちじゃなくてこっちの機能を想定していたのだが」 ということがよく起こる。そういう細かいしかしもしかしたら重要な問題は、やはりそのソフトウェアに精通している開発担当者でなければ気がつきにくい。

・ その場で被験者に何を考えていたか質問することができる
 上と関連する話。シナリオにない、ごく当たり前の操作で、被験者がよそしていなかった操作をしていたとき、「なぜその操作方法を取ったのか?」 とか 「普段からその方法を取っているのか?」 とかの質問ができる。こういった細かい情報は意外と貴重である。
多くのユーザビリティ・テストでは、テスト全体をビデオにとっていることが多いので、あとから見ることも可能であはある。しかしながら、疑問に思っても被験者に質問するわけには行かず、何よりライブ感のない映像を見続けるのは意外と苦痛である。

・ 落ち込むことができる
 というのはへんな言い方であるが、リアルタイムに自分の予想を被験者が裏切り続けるとほんとうにへこむ。もし、テスト結果でユーザビリティが極めて悪いといった結果を、ユーザビリティ担当者のレポートで知った場合、人というのは不思議なもので、ついつい、ユーザビリティ担当者を疑ってしまう。「ちゃんと見ていなかったんじゃないか?」 とか 「勘違いしているんじゃないか?」 とか。しかし、自分でリアルタイムにその被験者の言動を見聞きしていた場合、それはもう疑いようがない。そして、その結果をレポートで出されても素直に信じられるし、信じられないほかのチーム・メンバーを説得する側に回れる。これは重要なことである。


 ユーザビリティ・テストに立ち会うのは確かにたいへんである。かなりの時間をとられるためである。おそらく仕事を山のように抱えているときに、ユーザビリティ・テストを二時間じっと見ているのは、もしかしたら落ち着かないかもしれない。
しかし、もしユーザビリティ・テストを行うのであれば、多少無理をしてでもテストに立ち会って欲しい。それまで自分や自分の周辺だけでは気がつかなかった多くのことのうち、いくつかがかならずユーザビリティ・テストから得られるはずだから。

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 ユーザビリティ・テスト については、今回でひとまず終了です。またなにか書き残したことを思い出したときに随時投稿する予定です。

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コメント

おっしゃること、非常に同意です!
ユーザビリティテストは外部調査機関を利用するのではなく、各企業が独自に企画・実施していくことが理想的ではないかと思っております^^

投稿: いけとも | 2010/05/23 10:51

いけとも さん、こんにちは。
コメントをいただき、そして同意していただき、ありがとうございます。

実際問題として、ユーザビリティ・テストのシステムを構築することは、いろいろな面で大変です。
ですから、どんなテストでも共通するような最低限のことは、外部業者といった専門家に任せることのほうが良い場合も多いと思います。

ただ、その場合でも、いけともさんがおっしゃるように、独自の企画というかテストプランを持ち込んで、専門家ときちんとすり合わせること、テストを実施する際には立ちあうこと、が大切ではないかと考えます。

投稿: マスト | 2010/05/23 17:36

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