いつまでたっても“追いかけ再生”がうまくできない (ユーザビリティ)
家で使っている HDDビデオレコーダーの話である。
HDDビデオレコーダー(HDDレコーダー)には、“追いかけ再生” というとても便利な機能がある。今録画している番組を録画した範囲で以前に巻き戻してみることができるという機能である。子供は19時から民放番組を見たいと言い、カミさんはNHKのニュースを見たいと言う。そこで民放番組を録画して、リアルタイムに見るのはNHKのニュース番組としている。NHKのニュースを一通り見終わると、録画中の民放番組の追いかけ再生に移る。その頃私はテレビの前からたいてい離れており、自分のパソコンでブログを書いていたりする。(笑) そうしているとたいてい今のほうが騒がしくなる。子供が私のところに来て 「ママがうまく再生できないからきてー」 と泣きついてくる。これがほぼ毎日である。(TдT)
毎日のことなのに、なぜカミさんは追いかけ再生をうまくできないのか? 一言で言ってしまえば、HDDレコーダーの “ユーザビリティが悪い” からに他ならない。どこが悪いのか私なりに考察してみた。
1. 用語の問題
追いかけ再生機能を開始するボタンが “タイムスリップ” となっている。“タイムスリップ”と聞いてそれがどういう機能かを想像できる人はそんなに多くないだろう。なぜ素直にボタンの名前を “追いかけ再生” にしなかったのか? 私には謎である。
2. ボタンの配置の問題
上記の “タイムスリップ” ボタンは、“DVD”、“HDD” と同等の位置と形で配置されている。“DVD”、“HDD” が物理的な媒体の選択に対して、“タイムスリップ” は物理的なものを持たない機能の一つでしかない。ここにも混乱の要素がある。
DVD+タイムスリップ や HDD+タイムスリップ ということを考えて配置したのかもしれないが、別なカテゴリのものを同列に扱う時点で、良いユーザビリティとは私には思えない。
3. 再生するときの手順の違い
すでに録画が済んでいる場合は、“見るナビ”ボタン → 見たい番組の選択 → “決定”ボタン、となる。
追いかけ再生をする場合は、(録画している状態) → “タイムスリップ”ボタン → “スキップ”ボタンで録画先頭に移動、となる。追いかけ再生をしようとして “見るナビ”ボタンを押しても、録画中の番組は “録画中・・・” とだけ表示されて、“見るナビ”からは再生ができない。通常の再生の基点である “見るナビ” を表示【させないで】、“タイムスリップ”ボタンを押す必要がある。ここがカミさんを一番悩ませているところである。
いきなり “タイムスリップ” ボタンで再生できてもよいが、同時に “見るナビ” から録画中の番組を選択することで追いかけ再生ができても、(実装に必要になる以外)何の問題もない。
多くのユーザーにとっては、再生は再生である。録画済みでも、録画中でも、ユーザーにとってはそれは大きな問題ではない。であるから、同じようなことをするときは、同じ手順で実行できる必要がある。しかし、手持ちのHDDレコーダーにはそれがない。
4. “スキップ” ボタンのわかりにくさ
追いかけ再生を開始した直後は、ほぼ今録画しているところから再生が始まる。これがまずよろしくない。追いかけ再生を開始したということは、録画を開始した時点に戻って見たい場合が大半を占めると考えられる。であれば、追いかけ再生を開始すると同時に、録画開始時点から再生すべきである。ちなみに、録画済の番組はちゃんと録画先頭から再生される。
さらに、番組の先頭に戻るためには、“スキップ” ボタンを押さなくてはいけない。なぜ “スキップ” なのだろう? 素直に “巻き戻し/早送り” でよいではないか。次のチャプターもしくは番組の先頭・末尾まで瞬時に移動するボタンを “スキップ” としている。画面を早送り再生や早送り巻き戻しをするボタンは “ピクチャーサーチ” である。こんなわかりにくい用語ばかりを使ったリモコンだけを見て操作できないカミさんを私はちっとも不思議ではない。たぶん、この機種を使っているユーザー(その家族も含めて)の90%はリモコンの使い方を理解していないと私は想像している。
もし、私がこのリモコンをデザインするとしたら、以下のようになる。
A. “タイムスリップ” ボタンの 名称変更、位置の変更、もしくは廃止
“タイムスリップ” ボタンを残すとすれば、名称を “追いかけ再生” ボタンとする。配置は、“見るナビ”、“編集ナビ”、“録るナビ”、“ライブラリ” ボタンを同等に配置するか、もしくは完全に独立させる。上記の四つのボタンに同等に扱えないのは、上記の四つのボタンは操作するための画面が表示されるのに対して、追いかけ再生 は、操作画面が出てこないためである。
もっといいのは、“追いかけ再生” という名前は、機能の名前として残しておき、専用のボタンは廃止する。追いかけ再生をするときは、“見るナビ”画面より “録画中・・・” のアイテムを再生することで行う。
ただ、えてして、製品の “売り” を目立たせるためにあえて無駄な機能を大きく目立たせることは、家電業界ではよくあることなので、そこを説得するのが実際には難しそうではある。
B. 追いかけ再生の先頭からの再生
録画中の番組の追いかけ再生を開始したときは、録画の開始地点より再生する。
この二つだけを実装するだけで、“追いかけ再生” が多くのユーザーにずいぶんと使いやすくなるものと私は思っている。
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