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2006/11/01

テスティング -「自分の意思を押し付けていませんか?」 マネージャー、リーダーへの提言-

 提言シリーズ、最終回は 「無意識な意見の押し付け」 についての話である。

 会社勤めの人間の多くが、もっとも気にするのが人事評価である。人事評価は給与や社内の権限にかかわってくるためである。それ自体はごく自然な話である。そして多くの場合、人事評価は直属の上司が行う。よって、多くの会社勤めの人間にとって、直属の上司が “何を考えているか”、“何を期待しているか” がとても重要となってくる。直属の上司に気に入られなければ、自分の人事評価が上がらないと考えているからである。

 話を変えて、自分の経験の話である。

 あるチームに所属したとき、(直属の上司ではない)チームのトップマネージャー(仮に “T マネージャー” とする)は自分が意見されるのが嫌いであった。意見が適当であるかないかは問題ではなかった。意見されることが嫌いであった。ある仕様を決める会議でも、T マネージャーの意見が、ユーザビリティー・テストとあまりにかけ離れた意見であったため、私が反論したところ、無視された。
結局、そのチームにいる間は、私は高い評価をもらうことはできなかった。私自身は人に劣らぬ貢献をした自信があったし、直属の上司もそれなりに評価してくれていたので、とても納得のいかない時期であった。

 2~3年後、別なチームに移動して、新しいマネージャー (仮に “N マネージャー” とする) の部下となった。N マネージャーとは歳も近く、何より同じ日に入社したことで仕事を離れても仲の良い間柄であった。そんな間柄であったこともあり、私からの率直苦言も真摯に受け止めてくれた。
ある日、N マネージャーの言動に、私以外の部下が不自然に従順なことに気がついた。例えば、N マネージャーが 「XXX は、OOOしてみたらどうなの?」 と仕事のやり方の一例を提案しただけの発言に対して、部下 S は 「はい、そうですね。そうします。」 と何の疑問も出さずに素直に従っていた。 T マネージャーのことを経験していた私には、それは N マネージャーの評価を気にするあまりの過剰な反応のように思えた。私自身は、N マネージャーに反論しても、それが妥当であれば、N マネージャーはけっして不当な評価をしないことを知っていたからである。
そこで私は、N マネージャーと個人的な打ち合わせをしたときに、「マネージャーは人事評価をにぎっているので、発言は慎重になったほうが良い」 と提言した。N マネージャー本人は、自分がマネージャーであることも、人事評価をにぎっていることも意識せず、チーム・メンバーの一人として部下と対等に意見を言っていたらしい。しかし残念ながら、受け止める側の部下はそうは受け取らなかったのである。N マネージャーは自分の意見が、“意見の妥当性以外の圧力” で相手に受け取られていたとは考えもしなかった、と反省をしていた。その後、N マネージャーの言動は明らかに良い方向に変わっていった。

 マネージャーの言動には、その言動の持つ力以上に部下には圧力となる可能性があることを、マネージャーや評価をするリーダーはあらためて認識するべきである。

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