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2007/01/20

テスティング -テスティングから得たもの-

 ねこさんから、なかなか鋭い質問をいただいた。せっかくなので、その質問に対する私の返答を今日のネタとした。こういった質問に対しては、言いたいことが山ほどあり、おそらくコメント欄だけでは収まりきらないだろう、と思ったからでもある。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

果たしてこのテスティングの経験は役に立つのかしらん?

という問いに対して、残念ながら私は明確な答えをもっていない。というのも、テスター以後のテスティング以外の仕事は、すべて同一企業内での転“職”であり、テスターのスキルを前提にした転“社”をした経験がないからである。企業内転職であれば、やる仕事はだいたいわかっているし、仕事の進め方が大きく変わることもない。しかし転社であれば、同じ職種であっても、仕事のやり方・進め方がまったく変わったとしてもおかしくない。そういった意味では、私にはその経験がない。

 一方、逆の立場ならば、少しばかりの経験がある。他社でテスターをしていた人を何人か面接したことがある。結果を先にいえば、いずれの希望者も採用しなかった。私から見て、テスターの経験があまりにも貧弱だったからである。テスト スクリプト や テスト ケース といったテスティングの基本的な経験が見られなかった。テスター経験を考慮しなかったとしても、私の考えるテスターの資質が見られなかった、というのが理由であった。採用する側から見れば、単に 「テスターをしていました」 という申告だけで採用する気になるわけではない。“何を”、“どのように”、“どういった”、テスティングをしてきたのかが、私にとっては重要なポイントであった。

 私は前の会社にテスターとして採用された。それまで、私にはテスターの経験はおろか、ソフトウェア開発にかかわったことすらなかった。しかし、ヘビーユーザーとして、多くのソフトウェアを体験していた。そして面接のときは、「一太郎は、○○○は使いやすいが×××は使いにくい。×××については松のほうが使いやすい」 といった意見を述べたことをよく覚えている。そういったことも、テスターとして採用された理由になったと考えている。

 何が言いたいかといえば、他の職種からテスターになるときも、テスターから他の職種になるときも、同じことがいえるのではないかということである。テスターをしていたこと、それ自体が重視されるのではなく、テスターをしていたときに “どういう経験をしてきたのか”、“どういうことを学んだのか” ということが問われるのではないか、と思うわけである。

 前の会社では、私はテスターから仕様書きに転職をした。仕様を策定するにあたっては、テスターでの知識と経験は大いに役立った。むしろ、テスターの経験がなく、いきなり仕様の策定業務に回されたら、おそらくはまともな仕様が作れなかったと思う。

 私がテスターだった頃、一時期、マクロを組んだり、外部ツールを作ったりして、プログラミングの勉強をした。携わった製品が、パソコン(Windows) 用のソフトウェアだったので、Windows プログラミングについても勉強をした。実際に製品に直接関係したプログラミングをすることはなかった。しかし、製品がどういったルールでプログラミングされているのかを知っていなければ、より高度なテスティングをすることはできない。私の知っているテスターには、テスティングでプログラミング スキルを高めて、プログラマーへと転身していった人もいる。

 他社製品との連携テストも必須であった。そのおかげで、他社製品の仕様にも精通することができた。その経験は、自分が仕様を作るときに大いに役に立った。もちろん、パクッたという意味ではない。自社製品と比較をして、自社製品が劣っている部分を、他社の一歩先に行く仕様へと改善したのである。逆に、競合他社に私が考えた仕様をまねられたことも数回あった。

 仕様の策定者は、また、実装を確認するためのもっとも適したテスターでもある。何しろ、どのように動作するかを一番よく知っている人間なのだから。元テスターが一番仕様を理解している立場から、実装の確認をするのである。私が担当した部分の実装漏れはほとんどなかった。それに対して、テスター未経験者の担当部分には、実装後の確認漏れが多かった。

 私のいた会社では、ユーザー サポートとの連携をとるのも、テスターの仕事の一つであった。そのため、ユーザーからの質問の傾向や機能の実際の使われ方などの情報とも接する機会が多かった。そんなこともあり、ちょっとがんばれば、サポート業務もできそうな感じがした。

 思いついたことを急いで書いているため、読みにくい文章になってしまい、申し訳ない。言いたかったことは、

「確かに “テスター” という肩書きでは、他業種の採用担当者の目に留まりにくいかもしれない。“SE” と言ったほうが面接してくれる可能性はおそらく大きいだろう。しかし、面接官もバカではない。自分の獲得してきたスキルをきちんと示すことができれば、採用されるに違いないと信じている」

ということである。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 お詫びを一つ。

 私のコメントに、

「外部の会社からの“参考意見”とされなければ、なおいいですね。」

という部分がある。人によっては、いやみで不快なコメントと思われたかもしれない。確かに皮肉をこめて書いた言葉であった。特定の誰かというわけではなく、単に私の苦い経験が言わせたものであった。

 過去の記事でも何回か書いているように、前の会社で私はユーザビリティ チームを活用した。その際に、ユーザビリティ チームのメンバーともずいぶん仲がよくなった。そのときの苦い経験である。

 私は、ユーザビリティ チームより提案のあった改善案を、可能な限り仕様に盛り込む努力をした。それが、理にかなっていると考えたからである。ところが、ユーザビリティ チームにユーザビリティ テストを依頼した他のチームや社員の中には、テスト後のユーザビリティ チームからの提案をほとんど無視するチームや社員がいたのである。自分達に都合のよい提案だけをつまみ食いして、事実に基づいたその他の多くの正当な提案をまったく無視するのである。確かに、ユーザビリティ チームには、提案を強制する権限はない。しかし、依頼を受けて、多くの時間と労力を使って得た改善提案を、「めんどくさい」とか「手間がかかりそう」といった理由で無視されたのでは、ユーザビリティ テストをした人たちにとってはたまらない。

 そんなことを多く見てきたせいか、外部へのコンサルティングする人たちを、どうしても否定的に見てしまうのである。

 とはいうものの、いやな言い回しをしてしまったと、反省している。まったくもって申し訳ない。

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