中途半端な業界人はトレンドを見誤る
着外馬から勝ち馬へ
ゲーム業界変える任天堂の成功
ウォール・ストリート・ジャーナル (ITmedeia News)
[2007年4月19日]
私も、漠然とではあったけれど、Nintendo DS が売れて、PlayStation Portable (PSP) は苦戦するだろうと思っていた。あくまで個人的な理由だが、私にとって “据え置き型ゲーム機並の高度な画像処理” がぜんぜん魅力的ではなかった。それよりも、タッチパネルとデュアル・スクリーンの方が、はるかに興味をそそられた。DS は、それまでになかった形のゲーム機だ。その特性を生かすゲームが発売されずに、結局 “変なゲーム機” で終わる可能性も DS にはあった。そうならずに今の DS の人気を築いたのはやはり任天堂の先見の明と努力によるところが大きいと思う。
その私の感覚は PlayStation 3 (PS3) と Wii にも、当てはまった。PS3 はたしかに優れたゲーム機だと思う。しかし、私が PS3 を買ってまで遊びたいと思うゲームは、いまだ出てきていない。逆に Wii にはやってみたいゲームがあり、子供も遊んでみたいといっている。なにかきっかけがあれば、おそらく Wii を買うだろう。DS は “ドラゴンクエスト9” が出たときに買う予定だ。
上記の記事を読むと、アメリカのいわゆる “業界人” は、DS や Wii を鼻で笑っていたとか。その “業界人” がはたしてどの程度の人なのかはわからない。しかし、読みが外れた時点で、レベルの高い業界人ではなかったのだろう、と想像している。
私もパソコン業界で働いているときに、社内の自称 “業界人” にずいぶんと悩まされたものだ。自称 “業界人” は、一般の人より多めにパソコンやソフトウェアの知識を持っている。長く働いていれば、業界の歴史にも通じていたりする。ところが、先を見通す力がないことがほとんどだ。自称 “業界人” の思考は常に、過去から現在への延長線でしかない。パラダイム シフトを読むことも理解することもできない。
以下は実話ではなく、架空の話である。
世の中が DOS アプリケーションから Windows アプリケーションへ移行しようとしているときの話。Windows 用のワープロソフトを作っていた。Windows 上の作法として、Ctrl + Z, X, C, V には、アンドゥ、切り取り、コピー、貼り付け を割り当てるのことが推奨されていた。すべてのアプリケーションで統一することが、ユーザーにとって良いことだとされていたためだ。ところが、自称 “業界人” は、「ワープロなんだから、Ctrl + A, W, D, X にはカーソル移動 ← ↑ → ↓ を割り当てるのが当たり前だろう」 と言い出す。
(架空の話、ここまで)
自称 “業界人” はおうおうにして、会社の中で決定権のある立場にいるから、現場から見ると困った事態になることが多い。現場がトレンドを先取りして、他社に先んじようとすると、決定権のある自称 “業界人” が足を引っ張る。そして結局他社に遅れをとる。
1995年に Windows 95 が発売されたときに、Microsoft はインターネットを取り入れずに、クローズドな MSN を導入した。そのことで Microsoft はずいぶんとインターネット ビジネスで遅れをとったと言われている。
現場が再先端技術に踊らされた挙句に暴走をして、ビジネスに失敗するということも日常茶飯事なので、自称 “業界人” の抑止力がすべて悪い方向にいくわけでもないとは思うが・・・。
大事なのはやはり、自分で調べたこと、自分が経験したこと、そして、自分が感じたことを信じることだと思う。著名な “業界人” のいうトレンドを鵜呑みにしてビジネスを進めても、必ずしもうまくいくとは限らないのだから。
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