「利益は過去最高」 というけれど・・・
5月15日は決算発表の集中日だった。そして、企業の利益は過去最高となるそうだ。
テレビ、新聞各社も、さかんに “利益は過去最高を更新” と騒ぎ立てている。しかし、そんな発表も、私には “大本営発表” に聞こえてきてしまう。
企業はたしかに利益を更新したかもしれない。一方で、社会の全体を支えている労働者はどうだろう? 聞こえてくるニュースは、“ワーキング・プア”、“正社員と派遣社員の格差”、“新卒偏重による中途採用の壁”、“成果主義の名を借りた給与削減”、“サービス残業の恒常化”、などなど、とても企業が過去最高の利益を出しているとは思えない状況に、多くの労働者は置かれている。
単純に見れば、企業が労働者の利益を搾取しているように見える。“企業” というとわかりにくいが、要は “経営者” であり “取締役” である “経営陣” だ。経営陣は企業の利益に応じた報酬が得られるため、社員の給与を削減してでも企業の利益を上げれば自分の利益につながる。今回の 「過去最高の利益」 騒ぎも行き着くところ、そういうことなのではないかと、私は理解している。
日本が二十世紀後半のときのような、国民全体が富を蓄えていける時代ではなくなってきているのは、一部の人にとってはすでに常識だ。日本という国に入ってくる富が以前よりも少なくなっているのだから。その少なくなった富を、1.一部の人たちでこれまでと同じかそれ以上の量を独占する、のか、2.全体でこれまでよりも少なくなった富を分配する、しか選択肢はない。小泉政権で、日本の政治システムは 1. を選択したわけである。これが俗に言う “格差社会” であり、“勝ち組・負け組” である。
ところが、日本の一般社会においてはいまだに “富を社会全体で分け合う” 幻想の中にいる。大昔のような “均衡ある国土の発展” といったものにすがっている。そして、そういう政策を過去に行っている政党に幻想を持っている。政治屋や高級官僚、資産屋たちは、そういった幻想をたくみに利用して富を独占しようとしている。
内戦や暴動といった過激な社会変化は、私も好まない。しかしながら、このままでは本当に日本国民の大多数が経済的に這い上がれないところに追いやられてしまう。もしかしたらすでにそうなっているのかもしれない。私としては、明治維新や戦後復興のような “危機的状況からの見事な脱却” を行ってきた日本人の生命力を信じるのみである。
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