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2007/06/26

戦場の絆で考える“対戦ゲームのバランス”

 最近、アーケードゲーム “機動戦士ガンダム 戦場の絆” が楽しくない。対戦形式のゲームの基本として、実力が伯仲している時ほど、楽しくゲームができる。ところが、最近の戦場の絆では、超上級者とど素人が対戦させられる場面によく出くわす。柔道や剣道で言えば、有段者と昨日今日始めた素人が対戦するようなものだ。両者にとって面白はずがない。(中には、ど素人をいたぶって楽しんでいる上級者もいるようだが・・・。)

 こういった状況に陥ったのは、やはりプレーヤー人口の少なさと、最大8人同士、計16人をひとつのゲームに集めるようなシステムになっていることが原因である。またプレーヤーの技術レベルを “階級” という形で示しているが、階級を決めるシステムがいい加減なために、実力の近いもの同士を組み合わせるシステムが機能していない。

 囲碁ならば一目、二目置いたり、将棋ならば飛車角落ち、といったハンデとなるシステムが、戦場の絆にはない。上級者とど素人がまさにガチンコでゲームをさせられるわけである。なぜ、開発チームはハンデのようなものを実装しなかったのか、私には理解しがたい。もしかしたら、開発チームも最初から、階級はあまり当てにならないと思っていたのかもしれない。にもかかわらず、対戦相手のマッチングには階級を優先させる。大いなる矛盾である。

 同じ方向を向いて対戦をするカーレース・ゲームでは、対戦を面白くするために、順位の低い車ほど性能が高くなるシステムになっている、という話を前に聞いたことがある。こういうシステムならば、やりこんだ上級者と不慣れな初心者でもいい勝負ができるようになる可能性がある。

 戦場の絆は、8人対8人が同じフィールドで対戦をする画期的なゲームだ。だからこそ、遊び始めは、システムにいろいろ不備があっても楽しめる。しかし、ある程度慣れて、8人対8人が当たり前になってくると、今度はシステムの不備が気になりだす。そして度重なるシステムの更新でも、それらの不備は放置され続ける。そのうち開発チームは、不備を “テクニック” だと言い切ったりする。そんな発言を聞いたり、楽しめない組み合わせでゲームをさせられ続けて、多くの人の気持ちが離れていっている。

 話を変える。囲碁や将棋、そして麻雀は、かなり昔に考案されて、いまだに多くの人に遊ばれている。囲碁、将棋、麻雀、いずれも遊ばれているだけでなく、ある程度のビジネスになるほどに、多くのプレーヤーがいる。

 あくまで私的な意見だが、囲碁・将棋 と 麻雀 では、ゲームとして生き残った理由が異なると思っている。囲碁・将棋は、対戦者同士はほぼ同じ条件で戦う。先攻と後攻の違いぐらいだ。ほぼ同じ条件で、なおかつ偶然の要素なしに勝負が決まる。他方の麻雀は、上級者は捨て牌から相手の手の内を読めたりするが、ツモ牌を事前に知ることはできない。そこに偶然の要素が入る。確率的にはきわめて低いだろうが、上級者が初心者に負ける可能性があるということである。

 戦場の絆は、私が思うには、囲碁・将棋と同じ、確率を廃したシステムだ。それはそれで、上級者同士のゲームでは、ミスをしなかった側が勝つという、ハイレベルなゲームが楽しめるだろう。しかしながら、最初に言ったように、8人対8人の16人でひとつのゲームをやろうとすると、技術レベルに相当な開きができることが多い。そんなときに、麻雀でのツモのように、不測の事態が起こりうるシステムであれば、不均衡な対戦であっても 「万が一にも勝てるかもしれない」 という期待で楽しめる人も多いんじゃないかと思っている。

 不確定要素が入っているもいないも、そのゲームのコンセプトなので、どちらが優れているという話ではない。戦場の絆に限らず、コンピュータゲーム、特に対戦ゲームでは、ほとんどの場合、不確定要素を排除している。実力のみが勝敗を決める、というのはコンピュータ的で納得しやすいのかもしれない。しかし、そんなシステムばかりで、対戦ゲームが行き詰まりを見せているのではないかと、私はひそかに思っている。

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