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2007/08/24

赤ちゃんポストに対する役人のコメントに思う

赤ちゃんポスト:初の親引き取りに評価の声 国は依然慎重
  [毎日新聞 2007年8月23日]

 赤ちゃんポストに対して、私は個人的に “あり” だと思っている。追い詰められて短絡的になっている親から、子供を救う手段として有効だと思っているから。とはいえ、今回の主題は、赤ちゃんポストの是非ではない。

 今回、預けられた赤ちゃんが親元に戻った件についての役人のコメントが、いかにも役人が言いそうな内容だったので、一言言いたくなった。

元大阪市中央児童相談所長の津崎哲郎花園大教授は「両親が一時的に養育が難しい事情があって預けたとすれば、(赤ちゃんポストに預けるのでなく)乳児院に一時的に預ける制度もある。親元に戻った後も家族が問題を抱えているなら、病院と行政が連携して家族をフォローする必要がある」と提言した。

厚生労働省家庭福祉課の担当者は「子供は親が養育するのが一番望ましい」「子供を(ポストに)預けるということはあってはならず、行政などに相談してほしい」と従来の考えを繰り返し、運用状況の検証などにも消極的だ。

 どちらの言い分も、制度的、立場的には、間違ったことをいっていないのだろう。

 しかし、私にはどちらのコメントも、現実をまったく考慮していない、非常にむなしいコメントにしか映らなかった。切羽詰った親が、現実として役所に相談に行く行動を選択するだろうか?  役所に相談に行っても、どうせ行政の都合ばかりを押し付けられて、やれ書類だ、証明書だ、何日後にもう一度来い、などと、どうせ言われるに違いないと思うのではなかろうか。それは、虐待されている児童を保護する責任のある組織が、現状の法律や組織防衛、自己保身に縛られて、たびたび虐待による子供の死を防げないでいることからも、想像できてしまう。

 少なくともこの病院は、“子供だけは何とか助けたい” と思う親が、自分の都合だけで行動が起こせるシステムを準備しているという点で、十分に評価されてよいと思っている。(2chを見ると、赤ちゃんポストを悪用する話ばかりが出されているが、私には、子供を育てたことのない “ガキ” の戯れ言にしか見えない。)

 少子化対策などと、耳障りのいいアドバルーンは打ち上げているが、こういった担当者レベルのコメントを聞くと、本気で少子化対策に取り組んでいるとは、とうてい思えない。ゆとり教育 のような、子供を甘やかすことは出来ても、根本的な子供の命を護ることが出来ないようでは、やはりこの国は、人口減少を経て、緩やかな衰退に向かうしかなさそうである。

 「国が外敵に滅ぼされることは、ほとんどない。国はほとんどの場合、内部の権力腐敗によって滅びる」 という歴史的事実は、またもや繰り返されそうだ。

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