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2007/12/05

なぜ私がサポートを気にするのか

 前回、前々回とサポートの対応によって、顧客離れ、企業イメージの損失について話をした。私自身はサポート業務の経験はない。しかし、製品サポートの大切さは、身をもって経験してきたつもりだ。

 私が前の会社で働いていたときの話だ。最初の製品が出荷された直後、1992年ごろのことである。当時はまだサポートを電話と手紙でのみ行っていた。そして、サポート チームは、電話対応の記録のコピーと郵送されたサポートシートのコピーを、定期的に開発チームに回してくれた。回ってきたコピーは、開発チーム内で回覧をして、気がついたことがあれば、書き込みをして、サポート チームへ返却していた。

 2~3ヶ月サポート内容のコピーを読み続けた頃だろうか、私は、サポート チームがユーザーに間違った内容を伝えているケースが多いことに、耐え切れなくなっていた。できることを 「できない」 とユーザーに伝えたり、一つの機能でできることを、複数の機能の組み合わせでユーザーに教えたり。我慢しきれなくなった私は、サポート チームに文句を言いに行くことにした。

 1~2週間、毎日のようにサポート チームへ出向いて、サポート担当者達と話をしていくと、ある重大な問題に気がついた。サポート担当者達が、製品について正しい情報を知らないのだ。

 サポート チームは、新製品の発売に合わせてサポートの準備を始める。新製品発売前なので、製品開発が終わっていない段階でサポート チームは準備を始める。そのために、出荷直前で見つかった問題の対応や、問題回避のための仕様変更が、サポート チームに伝わらず、変更前の情報でサポートしていたりしていたのだ。

 「これではまずい。私が作った製品がユーザーに誤解されていく。」 という危機感を持った私は、時間を見つけてはサポート チームに顔を出して、質問に答えたり、開発の都合による仕様変更などの情報を伝えていった。

 その結果、回ってくるサポートの品質が、目に見えて高くなっていった。それを見て、一人で喜んでいたものだった。

 サポート担当にしてみれば、自分が作ったわけではない。にもかかわらず、問題が発生して、怒っているユーザーに頭を下げるのは自分達だ。ユーザーに答えようにも情報を持っていない。ユーザーの不満を開発に伝えても、まともに取り合ってくれない。

 これでは、サポートの質が上がるはずがない。

 私自身は、別にサポート全体の質を上げようと思って、サポート チームのサポートをしたわけではない。ひとえに、自分担当した製品が正しくユーザーに使われないのがイヤだったのだ。

 私は、ユーザーが自分の製品を正確に理解をして、正しく評価することを望んだ。サポート チームは、自信を持って製品がサポートできることを望んだ。

 あのときの私行動は、私とサポート チーム、両者の望みを同時にかなえるもだった。だから、自分も満足できたし、サポート チームからも感謝された。今でも、あのときの私の行動は、とても有益であったと信じている。

 ひるがえって、最近のサポートは、アウトソーシングが進み、一つのサポート会社が、複数の会社の複数の製品を扱うことが普通だ。そして、サポート担当者の評価は、単位時間当たり、いかに多くの問い合わせを処理したか、でされている。そんな状況では、サポート担当者は、問い合わせ内容をよく吟味せずに、事前に準備された回答で返答するだけになってしまう。もちろんそれでは、問い合わせた人が満足できるサポートになるはずもない。

 前回で述べているように、サポートの良し悪しは、その企業のイメージ、製品イメージを左右する。良いサポートは、その製品価値を高めてくれるのだ。ところが、宣伝広告には予算をつける努力をするのに、サポートには予算を付けない努力をする。

 大々的な宣伝広告をするのに比べて、サポートが貧弱な会社を、私は信用しない。良い製品やサービスを提供しているなら、良質なサポート体制を準備したとしても、それほど予算を必要としないはずだ。

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コメント

持ち込み修理サービスでお客様と直接話したり事業部と直談判したりした経験があるので、今回の記事は非常に共感できる内容でした。
(あと、開発現場で新製品の評価作業も経験したので余計に)

お客様にしてみれば、サービス担当にストレスをぶつけたり
いびるような言動がしたいわけじゃない。
本当に困っているから。
何とかして欲しいから言ってるんだが、それでもどうしてもやり場が無いからこうして噴出してしまうんだ。
というのが伝わるからこそ、電話で長々とお話を伺ってでもその人が何に困っていて、どうすることが解決になるのかを一緒に考えていくのが大事だと思うんです。

もちろん本当にクレーマーと言われるような部類の方もいるかもですが幸い私がお話を伺ったお客様にそういう方はいませんでした。
どの方も、こうして連絡をすることで何とかなると期待している。
だったら、それに応えたい。

修理担当としてすべきは、お客様が満足できるサービス。
「直してでも、使い続けたい」と思ってくれたその気持ちに応えこの製品が再び人の役に立てるように力を添えること。


だから、事業部の担当の方から詳細な情報を頂いたり、製品の能力を踏まえてどのようにお客様の要望を満たせるかを毎日のように探っていました。

正直、サービス窓口だけではサービス品質を上げるのは無理なんです。
製品開発サイドに近い方の協力が絶対に必要だと思います。
私達は直すプロですが、製品本来のスペックを超えたものには仕上げられませんから。
それと、製品の能力について熟知されている方であれば知ってる正しい使い方・やっちゃいけない使い方など、お客様の要望を満たせる情報が欲しいんです。

(とはいえ、私もサービス品質を上げたかったんじゃないんです。こうして自分達に問い合わせてでも商品を使ってくれることに応えたかっただけですから)


あとは、こうしてお客様から頂いた情報をフィードバックして今後の改善や次期商品が少しでも良いものになるように細かいことから積み重ねていく。


テンプレが悪いとはいいません。
お客様から来る可能性がある問い合わせに対して、少しでも早く満足できる回答をすることが出来るのなら、それは非常に大事なこと。

問題は、そのテンプレの作り方です。
もしそこに「お客様の困ってることを解決するために準備しておくもの」という意志が入ってなかったら…そのテンプレはただただ問い合わせを体よく斬り捨てて黙らせるための凶器にしかならないのですから。


>担当した製品が正しくユーザーに使われないのがイヤだったのだ。

マストさんのこの一言が嬉しかったです。
モノを作ることに携わる人として、自分の手がけたモノに誇りを持ったりそれらがあるべき形でユーザーの役に立たないのが嫌だといえる技術者がちゃんといるんだなって思えるので。


作った製品に誇りを持つ。
アフターサービスも責任を持って行う。

お客様が満足・安心できるサービスってそういうものじゃないのかなと。

長々と書いてしまい済みませんでした。
どうにも書き出すと止まらなくて&まとまらなくて(苦笑)

投稿: くだもさん | 2007/12/05 01:43

くだもさん さん、共感したコメントをいただき、とてもうれしく思います。

多分、くだもさん さん と私は、物に対する感覚が似ているんでしょうね。攻撃範囲チェッカを私もまねてみようと思ったのも、共感できる部分のあらわれなのかもしれない、と思いました。

私はとかく物に愛着を抱いてしまうほうで。ものづくりをしているときにはよいのですが、物が捨てられずに、いらなくなったものが部屋にあふれかえってしまい、カミさんによく怒られるのが、欠点です。(^_^;)

投稿: マスト | 2007/12/05 08:00

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