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2007/12/11

数値はひとり歩きする

他人が作った数字を疑い「数字を見る目」を養う
会社の数字に強くなる<第5回>

 水越豊
  NBonline [2007年12月11日]

 私も会社の第一線で働いていたときは、いつも言われていた。「具体的な数字を出せ」 と。いつしか、あちこちからデータをかき集めて、自分の主張の根拠を数字で示すことが当たり前になっていった。

 具体的な数字を出すことで、他人を説得しやすくなり、自分の主張する機能を実装しやすくなる。

 自分が散々使っておいて言うのもなんだが、具体的な数字を出されると “説得力がある” というのが曲者なのだ。上記の記事でも言われているように、背景となっている条件をきちんと把握しないと、とんでもない誤算を招く。

 政府の発表する出生率予測など、いい例だ。政府は常に 「出生率は今後上昇する」 と言い続けている。しかし、現実の出生率は下がる一方で、上がる気配を見せない。それはひとえに、政府の前提が 「少子化対策が有効である」 という、“極めて非現実的な” 前提に基づいているからだ。

 逆に、示したはずの前提がいつの間にか忘れ去られてしまい、データを提示した者が 「うそつき」 呼ばわりされることもある。

 私が担当したアプリケーションの新機能を、ユーザビリティ テストしたときのことだ。新機能は、特定の作業をまとめて、単純化したウィザード型のものだった。該当アプリケーションの未経験者向けに実装したものだ。結果は良好だった。

 報告書には、「“未経験ユーザーに対して”、極めて有効に機能した」 と書いたにもかかわらず、時間がたつにつれて、いつの間にか 「すべてのユーザーに対して、有効な機能」 と思われるようになってしまった。

 致命的だったのは、営業・販売部隊に勘違いされたことだった。その機能を、前バージョンの機能のスーパーセットと広告されてしまった。発売後、既存のユーザーから、「機能が減っている」、「使い勝手が悪い」 といったクレームが多く寄せられてしまった。

 それはそうだ。既存のユーザーには、従来どおりに使ってもらおうと思っていたのだから。新機能は、従来のユーザインタフェースでは、うまく使えない新規未経験ユーザーに対して、機能を最低限に絞って、わかりやすくしたものなのだから。

 営業・販売部隊と、密な連絡・連携が取れなかったための失敗であった。私にとっては苦い経験だ。

 出された数値が一人歩きをして、私のように痛い失敗するケースがある。一方で、数値の一人歩きを見越し、他人を陥れて、だまそうとする輩もいる。

 自分が数値を伝えるときは、本文よりも何倍も強調をして前提条件を伝える。他人の出した数値を読むときは、上記の記事でも言われているように、荒唐無稽な前提が使われていないことをしっかりと確認する。数値を一人歩きさせないための、重要なテクニックだ。

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