成果主義の先を予想してみる
日経ビジネス オンラインが興味深いアンケートをやっていた。
特集 ザ・ターニングポイント
~イノベーションの軌跡
このままでは成果主義で会社がつぶれる
読者アンケートに悲痛な声が続々
鶴岡 弘之
[2007年12月10日]
私のスタンスとして、
- 「人は本当のことを言わない」
- 「人は言うことと、やることが違う」
- 「アンケート結果は、全体を代表していない」
以上の三点がある。ユーザビリティ テストの経験から得たものだ。
私の質問に対して、「こちらが期待していると思われる意見を言う」、「『初心者にはいいと思う』といった自分以外の立場で意見を言う」、「『とても便利ですね』と言いながら、実際にはその機能を使わない」 ということは、日常茶飯事だった。また、テストの被験者はやはり、ある程度コンピュータに興味のある人に限定されてしまう。
ということで、このアンケート結果も、記事がすべてだとは思っていない。編集方針として、“成果主義 = 悪” というシナリオがあるの “かも” 知れないと思って読んでいる。
とはいうものの、数字そのものにウソはないだろう。自由記述の内容も、私が経験してきたことと、気持ち悪いくらい類似している。
思うに、“成果”主義 という名前に問題があるように思う。経営者側が考える “成果” と、従業員側が考える “成果” に、まず、ずれがあるように思う。また、上記記事の本文でも触れられているとおり、人件費削減 “のみ” に使われているケースも多いのだろう。私が以前書いたように、評価する中間管理職が “成果” とは異なることで評価するケースもあると思う。
ちょっと例えがよくないが、今の “成果主義” と言うネーミングは、独裁者が “治安維持” という名目で、反対者を弾圧するのと似ていると思った。
“治安維持” と言われて反対できる人は、おそらくほとんどいないだろう。「治安がいい=善、治安が悪い=悪」 という常識がほとんどの人の認識だからだ。しかし、“治安維持” の名目で、独裁者が弾圧を行うのは、ほとんどの人には “害悪” でしかない。
同じように “達成した成果により報酬が決まる” と言われれば、多くの人は賛成するだろう。極度な年功序列が続いたため、たいした仕事をしていなくても在籍しているだけで高い給与をもらっているという不公平感が、多くの人の認識に定着しているためだ。
ところが、その “達成した成果” を決めるのは経営者達であり、「君は目標を達成していない」 と言われれば、ほとんど反論できないのが今の “成果主義” だ。独裁者による治安維持となんら変わらない。
だとすれば、経営者に “のみ” 都合のよい “成果主義” の行く末は、見えてくる。独裁政権下では、優秀な人材は難民として流出をする。海外に逃亡できずに、圧政下に置かれている人たちの生産性は、極度に低下する。結局、独裁国家は内部から崩壊していく。そのことは歴史が証明している。
経営者向け “成果主義” では、本当に優秀な人材は残るのかもしれない。しかし、優秀な人たちも、多くの “普通” の人たちに支えられてこそ、優秀な “成果” が達成できる。ところが、支えるべき普通の人たちが、その会社から難民者のごとく流出していく。残るのは、優秀な人たちと、会社にしがみつく普通 “以下” の人たちだ。十分な支援が得られなくなった優秀な人たちも、仕事が満足にできなくなって、やがては流出していくだろう。すると、残るのは会社にしがみつく人たちだけだ。
そうなれば結果はおのずと見えてくる。
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