« プラズマテレビの比率15%の真実 | トップページ | 歴史ある京都は現状維持が主流 »

2008/03/26

下がいると思って開き直ってもいいじゃない

 今の世の中、市場経済、資本主義、といった企業中心社会になってしまったため、ついつい 「企業が目指す目的こそが正しい」 といった情報ばかりが世の中にあふれてしまっている。

 確かに企業活動抜きに今の日本社会は成り立たない。が、ちょっと待って欲しい。本当に企業にとって正しいことが、個人個人にとっても正しいのか、個人にとっても幸せなコトなのか。そうではないと、私は思っている。

 特に最近の “食品偽装問題”、“保険金不払い問題”、“耐震強度偽装問題” など、企業にとって利益を優先させすぎたために、大多数の人たちが貧乏くじを引かされている事を見ても、企業の論理が常に正しいわけではないことがわかる。

 ところで企業内部では、そこで働いている人が、その会社の求める人間像を強制される。

 どういうことかといえば、企業は売り上げを伸ばして業績を拡大することを大前提にしている。簡単に言ってしまえば、「企業を成長させる」 ということだ。そして、企業を成長させるために、そこで働いている人にも常に成長を要求する。そして、現状維持でよしとする社員は、“不良社員” として切り捨てられていく。

 しかし、ほとんどの人は無制限に成長できるわけではない。能力にしても身長にしても、成長には限界がある。にもかかわらず、企業の中では絶え間ない成長を要求される。

 それが絶対に間違っているといいたいわけではない。ただ、ビジネス書で、「成長しつづけなければ価値がない」 のように書かれていることが、私には気に入らないのだ。

 例えばこの記事。

デキルヤツノ条件     
下には下がいると思いたまふことなかれ
 降旗学
  NBonline [2008年3月21日]

 この記事の趣旨が “デキルヤツ” になるための指南書なので、この記事そのものを非難するつもりはない。このシリーズではこの内容でいいと、私も思う。

 とはいえ、世の中全体としてみた場合、

「自分よりも下の人がいるんだから、少しは安心してもいいよね」

と思うことは、私は悪いことじゃないと思っている。

 手が届くかわからない上ばかりを見上げ、疲れ果てた挙句に、自暴自棄になるよりも、一休みをして下を見下ろし、「結構上に上がってきたじゃん」 と自分をほめてあげてもいいんじゃないかと思っている。

 その後、やっぱりもう一度上を目指したいと思って努力するのもその人の生き方だし、そこまでの成長段階を維持することに切り替えるのもありだと思う。

 ただ、さらに上を目指すにしても、現状維持を選択するにしても、同じ部署、同じ会社で働き続けられないかもしれないことは、覚悟しておいたほうがいいかもしれない。

 所詮、自分の思うようには、物事は進まないもの。

 繰り返しになるが、一部の人が書いていることだけをむやみに信じて、選択肢の幅を狭めることはない。時には、世間に広く受け入れられている話でさえも疑ってかかり、本当に自分が安心できる選択肢を選ぶことが、結局は自分の幸せにつながると思う。

 かくいう私も、たいした考えもなく最初に大企業に就職したときは、「転職など出来ない。転職したらそれで私の人生は終わりだ」 などと考えていた時期もあった。しかし、その会社で働く意義を見失ってしまい、数ヶ月悩んだ末に、「そうか、転職して会社を移ってしまえばいいんだ。」 と “思いついた” とたん、急に目の前が明るくなったのを今でも覚えている。

 その後まもなく転職を果たし、転職した会社も今は辞めた。でも、「人生が終わった」 などとは少しも思っていない。むしろ、今まさに自分のやりたいように人生を送っている実感がある。

|

« プラズマテレビの比率15%の真実 | トップページ | 歴史ある京都は現状維持が主流 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

生き方」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 下がいると思って開き直ってもいいじゃない:

« プラズマテレビの比率15%の真実 | トップページ | 歴史ある京都は現状維持が主流 »