「実は私も失敗すると思ってました」 などという言葉は聞きたくないものだ
小泉元首相が、次の衆議院選挙に立候補しないと明言したことが、ニュースになっている。
小泉元首相が首相時代に行った構造改革は、私もそれなりに評価できると思っている。ただし、中途半端に終わってしまったのが残念で仕方がない。
小泉構造改革によって、企業経営者など一部の人たちだけが利益を独占できるようになった。また、非効率で不道徳な高級官僚たちは、そのまま放置されている。
理由はどうであれ、老害化する前に国会議員を辞める決断をしたことは、素直に評価したいと思っている。以前に、自民党の長老達を公認せずに引退に追いやった小泉元首相なだけに、自らがいつまでも国会議員にしがみついていたら、「なんだ、結局、自分だけは特別扱いか」 と思われていただろう。
それよりも、小泉元首相の引退宣言に呼応するかのように、とたんに小泉構造改革に対して 「失敗だった」 と言い出す自民党議員がいることに、あきれた。そんな風に思っていたのなら、なぜ最初から言わなかったのかと言いたい。
こんな話を見聞きする度に、私がとあるソフトウェアに対して、それまでとまったく異なるインタフェースを設計して、実装してもらったときのことを思い出す。
ユーザビリティ テストの結果に基づいて新しいインタフェースを提案して、チーム内を何とか説得して、納得した上でそのインタフェースを実装してもらったと、思っていた。
結局、一部のユーザーには好評だったものの、既存のインタフェースに慣れた大多数のユーザーには不評だったため、新しいインタフェースは “失敗” ということになってしまった。
失敗したのは私の責任なので、それについて非難されるのはしょうがない。
しかし、一つだけ納得できないのは、『私も最初からダメなんじゃないかと思っていたんですよね』 と、失敗と判断されてから急に言い出すチームメンバーがいたことだった。
「最初から思っていた」 のならなぜミーティングではっきりそう言わなかったのか。もし、「空気を読んで反対しなかった」 というのならば、同意したのと同じなのだから、後になってから 「私は失敗すると思っていた」 的な発言などして欲しくない。
そういう発言する人間は、少なくとも仕事の上で、私は信用できない。反対ならば、空気など読まずに、最後まで反対して欲しい。その反対意見により、もしかしたら実装前に仕様を修正して、“成功” に持っていけたかもしれないのだから。
もっとも私の場合は、別なプロジェクトで、最後までコンセプトに納得できずに、チームからおっぽり出されたことがあった。そのプロジェクト の存在意義に納得することが出来ずに、方向性の修正をしつこく要求したにもかかわらず、まったく相手にされなかったので、作業をボイコットしたのだから、当然と言えば当然なのだ。
それでも、私はその結果にまったく後悔していない。むしろ、納得できぬままにプロジェクトに協力していたとしたら、そちらの方が後悔していただろうと、思っている。
後々に風の噂に聞いたところでは、私を追い出したプロジェクトが作ったソフトウェアは、目標販売本数が万単位だったにもかかわらず、1000本に届かなかったという。
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