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2008/10/10

米国では、金持ちが貧乏人を搾取する?

ニュースを斬る
業を破綻に追い込む「利益偏重主義」
『会計物語』の林 總氏と『エネルギー』の黒木 亮氏が緊急対談(後編)

 NBonline [2008年10月10日]

 会計やらキャッシュ・フローやらは、私の苦手な分野の一つなので、上記の記事の具体的な理解は、いまひとつ出来ていない。

 私が非常に気になった部分は、まったく別なところだ。3ページ目の、

黒木 最近の米国の社会を眺めていると、拝金主義が過度に広まっているという印象を強く受けます。何よりもお金を持っているかどうかが尊敬の基準になっていて、高そうなスーツを着て、チップを気前よく払う人間が一目置かれるようなありさまです。
 反対に、いくら仕事で実績を上げても、地味な格好をしていたら、それだけで軽く見られてしまう。私もかつて米国に行った時に、そのことを理解するまでには、だいぶ不愉快な思いをさせられました。

 確かに、いくら頭が良くて、仕事ができる人間でも、米国ではお金を持っていないと認められません。「頭がいいなら、なんで貧乏なんだ?」という感覚なのです。極端に言えば、金持ちは貧乏人を搾取するのが当然といった感じで、ちょっと日本人にはついてゆけない気がします。

の部分だ。

 私が10年以上前に米国で働いていた頃には、まったくこのような感じは受けなかった。

 なので、このような拝金主義は、ワシントンD.C.やニューヨークといった政治・経済の中心部周辺のことだと思いたいのだが、もしかしたらこの10年の間に大きく変わったのかもしれないし、昔からアメリカ人の根底にあったが見えにくいだけだっただけかもしれない。

 いずれにしろ、「金持ちは貧乏人を搾取するのが当然」 という感覚が、一部の人たちであれ大部分の人たちであれ、アメリカ人の感覚だとすると、サブプライム問題や粉飾もどき決算、ハゲタカファンド、企業経営者の常識を超える高額な報酬、等などが、なんとなく理解できそうな気がする。

 そして日本も、小泉元首相が “グローバル・スタンダード”、“構造改革” という名前で、この 「金持ちが貧乏人を搾取」 という部分を、輸入・実践したようにも見える。

 ところで、“権力を持つものが支配されているものから搾取する” という考えは、ヨーロッパでいえば、中世の王侯貴族が社会を支配していた頃の考え方と同じように見える。

 世界の警察を自称し、世界のすべての人の平等と、自由主義経済、を標榜する米国において、政治・経済の中心にいる人たちの思考が、階級社会であった中世の権力者の思考とさほど変わらないというのは、なんとも皮肉な話だなと強く感じた。

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コメント

普段色々と考えているところなので、長くなりますがコメントさせていただきます…

○ アメリカ=平等
これは結構誤解を生むところだと思います。アメリカの実情を理解するにつれ見えてくるのは日本に比べて本当に色々な面で圧倒的に多様性が高いということです。もうあまりにもみんな違うので、日本であるようなほかとちょっと違うことをやったら目だってしまうというようなことはまず起きないような気がします。

カースト制のような制度化されたものでこそありませんが、アメリカはかなりはっきりとした階級社会です。共和党の大統領候補のマケインのように自分が一体何件家を持っているのかわからない人がいるかと思えば、仕事をしていても普通の生活をするのに足らないので仕事場の駐車場に車を止めてその車の中で生活している人がたくさんいます。アメリカの高等教育は充実していますが、とてもお金がかかるので、貧しい家の子供はあまりよい教育が受けられません。結果として、お金のない人たちはお金のもうけられない子孫を産み続ける。

アメリカには国民健康保険がありません。その結果、ろくな就職先が見つからず20代30代を医療保険なしで過ごす人たちもざらです。他方、お金持ちには世界一の医療が待っているわけです。

アメリカの平等さを象徴するものとして公民権運動などが挙げられますが、あれは差別によって極限まで圧迫された被差別層が爆発した現象とも取れます。ただし、そこで審判の役割を果たした司法府は確かに平等であったといえるでしょう。

もう一つ、アメリカの平等を象徴する言葉として、「アメリカン・ドリーム」という言葉があると思います。なぜこの言葉が平等を象徴するかというと、「アメリカン・ドリーム」とはすなわち、無一文でも、身一つでも、誰でも平等に大成功するチャンスを持っているというもので、実際にそうやって成功してきた人たちがいるからです。貧しくて大学を卒業できなかったスティーブ・ジョブスという青年は今ではアップル社の社長です。(もう、青年ではありませんが…)

アメリカに住むすべての人は「アメリカン・ドリーム」という「チャンス」において皆平等ですが、それと同時に、この平等は全ての人が権利・富・自由を他者と同じように手に入れられるという類の平等ではないわけですね…むしろ階級社会アメリカの中で、一番上の階級に上がれるという宝くじを誰でも買うことができるといった感じの平等です。

全ての人が権利・富・自由を平等に得られる社会のことをソーシャリズムといって、フランスやそのほかいくつかのヨーロッパの国などがそうですが、アメリカの自由主義とはまた別の考え方です…「平等」にも種類があるということでしょうか…

○ 拝金主義
これは確かにどちらかというと最近の現象なのかもしれません。近年の傾向として、「アメリカン・ドリーム」の定式化のようなものがおきていて、それは30代で一儲けして後はリタイヤするとか、自分で会社を興してIPO(株式公開)や自社を高く買ってもらって大儲けするとか、ぼろぼろの家を安く買って、手直しして高く売るということを繰り返して大儲けするだとか、今まで起きたバブルの数だけ「大儲けしてリタイヤする」方法というのがあるわけです。アメリカはもう80年代からなんだかんだ言いながらバブルがぽこぽことつながっていたので、ある意味みんなバブルボケしているともいえるでしょう。本当に多くの人が今触れたような方法で大儲けして、リタイヤしてるわけなので、みんな触発されてしまうわけです。

お金で幸せになれるわけではないというのはみんな心のどこかでは気づいていたりするのでしょうけど、世界の国々の中でもアメリカはお金で自由になることが一番多い国の一つでしょう。外国人でもお金を十分持っていれば永住権を買うことができるという話も聞いたことがありますし、政治の世界では財界・宗教団体などから資金をたくさん受けているロビイストたちが議員をリモコン操縦しています。裁判などでも高い弁護士を雇えばその分だけ自分に不利な判決が下りる可能性を減らすことができますし…司法取引なんていうものもあります。こうした背景は拝金主義の下地になっているようにも考えられますね。

○ 搾取
アメリカの経済の70%以上は個人消費によるものです、そしてその70%のお金の流れを作っているはずのアメリカ国民の大半の給料はここ何年も横ばいです。それでも去年までのアメリカの経済は着実に成長を続けていました。これはすなわち上流階級が搾取していることの証拠でしょう。結果として中流、下流階級は消費を続けるためにさまざまなローンに手を出すことになっています。大学のために学生ローンで新社会人は数百万のローンを抱えていることはざらです。さらに家を買った人はその家を元手にお金を借りるのが当然のように行われています。当然アメリカ人の平均貯蓄はとても少ない。そうやって普通の人がお金を市場に流し込んでやるとそれがみんなお金持ちのところに集まっていくわけです。
更にブッシュ大統領の8年間で行われた減税は高所得者層が対象なものばかりでした…もう、国を挙げてのシステマチックな搾取といっても間違いないんじゃないでしょうか…
こういったお金の流れがあるところに、住宅バブルやサブプライムローンは中流・下流層の人たちに「アメリカン・ドリーム」を身近なものに感じさせる幻想を与えたのだと思います。

一方、NBオンラインの記事の高いスーツやチップを弾むと云々というところや、頭がいいなら、何で貧乏なんだ?というところはあまり共感は抱けませんでした。僕がよく知っているシアトル郊外ではあまりないですが、ニューヨークなどでは確かにあるかもしれませんが…

ながながとしつれいしました。

投稿: け | 2008/10/10 16:04

けさん、貴重な意見をありがとうございます。
このコメントだけで1本記事に出来そうです。happy01

また思うところがあれば、長くても短くてもかまいませんので、投稿をお願いします。

投稿: マスト | 2008/10/10 22:47

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