デリバティブの危険性がほんの少しわかったような気がした
牧野洋の「世界の常識・日本の非常識」
他人の資産に勝手に保険をかけた綻び
「金融版大量破壊兵器」を拡大させた米国
牧野 洋
NBonline [2008年10月20日]
デリバティブ、ヘッジ・ファンド、等などは、私には何が危険で、何が問題なのかが、まったくわかっていなかった。だが、上記の記事のある部分を読んで、その危険性がちょっとだけわかったような気がする。
2ページ目に紹介されているフォーチュン誌の例えが、それだ。
友人が危険な運転をするドライバーだとしよう。「絶対に事故を起こす」と考え、保険会社を訪ねて友人には無断で勝手に車両保険をかける。「他人の資産に保険をかける」わけだ。その場合、友人が本当に事故を起こせば、保険金をもらえる。
百歩譲って、保険料を払っているのだから保険金がもらえることが問題ないとしよう。しかし、これはもはや保険ではない。自分がこうむる損害を補償するためのモノを保険と呼ぶと考えれば、友人の事故は自分には直接損害が及ばないのだから、これは保険ではなく “ギャンブル” だ。
どの馬が1着でゴールするのか、どのサッカーチームが勝つのか、を予想して掛け金を払うギャンブルと同じ形式にしか見えない。
リスクの高い “ギャンブル” を、安全性が高いもしくは高める “保険” という名前で売り出すことも充分問題だと思うが、下の内容がデリバティブの本当の危険性だと思った。
もっと複雑な展開もありえる。保険会社も「本当に事故を起こしそうだ」と不安になり、保険契約を第三者へ転売する。その第三者が、保険金を払う能力があるのかどうかも外部からではよくわからない、無名のヘッジファンドだとしたら……
事故が起こったら確実に保険金が支払われるようなうたい文句で保険金を集めておいて、その保険の責任を支払いが出来ない会社に転売されたとしたら、これはもう “詐欺” としか呼べないのではなかろうか。
もちろん、他人の事故を当て込んで勝手に保険をかけるのもどうかと思うが、そこにつけ込んで支払い義務を他社に丸投げすることが、とてもマトモだとは思えない。
たしかに、危険が高まったものを第三者に転売することで、その保険会社は “リスク・ヘッジ” 出来たかもしれないが、保険金を支払った人にとってはむしろリスクが高まったことになる。
この “ゲーム” が、誰も理解できない形で、誰も把握できない形で行われているとしたら、たしかに市場が疑心暗鬼になり、株価が急落するのもなんとなくわかった。
自分がこういった金のやり取り、駆け引きに興味を持たず、モノを作って価値を生み出すことにのみ興味を持ったことに、今は感謝するばかりだ。
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