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2008/10/21

生産拠点の中国進出、その果てに

時流超流
生産活動、世界で縮む
日本企業に迫る津波(1)

 星良孝、飯山辰之介
  NBonline [2008年10月20日]

 ほんの10年~数年前まで、

「これからは製造拠点を中国に移さなければ生き残っていけない」

などという話をよく耳にしたが、数年たった今、どうなったか。

 上記記事の最終6ページ目のコラムの話だ。

中国進出の日本企業、撤退できず破綻

曲がり角に差しかかった中国ビジネス。今後は撤退を余儀なくされる日本企業が増えそうだ。だが、いざ撤退しよう思っても、そう簡単に撤退できるわけではない。

 『中国に生産拠点を移転して生き残る』 どころか、『中国に生産拠点を移したために倒産』 ではないか。

 大手企業との取引関係から中国進出したのは、ある意味、災難だったとも言える。それに対して、経済評論家や経営コンサルタントの都合のいい話だけを信じて、自ら進んで中国進出した企業は、自らの読みの甘さを後悔するしかないだろう。

 ずっと以前より、中国は法治国家ではなく、“人治国家” と言われてきた。担当者の都合で法律がいつの間にか変わっていることが、日常茶飯事だとか。

 だから、

企業所得税法改正によって、外資系企業誘致の呼び水だった税制優遇措置が縮小された。
労働者の権利保護を定めた労働契約法の施行もされた。

などということも、企業経営者であれば想定していなければならなかったはずだ。当然、中国から撤退することも想定して、そのシミュレーションも行ってしかるべきだった。

 これは生産の話だが、消費についても似たようなことが言えるのではないかと、私は前々から思っている。

 『中国には10億人の市場が広がっている』 とは、よく聞く話だが、本当に日本の10倍の市場があるのだろうか? 私はずっと疑問に思っている。

 たしかに都市部の所得は大きく上昇している。富裕層も増えているだろう。最富裕層は日本の富裕層以上の資産を持つという話も聞く。

 だが、いまだ中国の多くの地域は極貧にあえいでいる。周辺自治区では、中央政府に対する反発から治安の悪化が伝えられている。そんな地区での所得がすぐに先進国並みになるとは思えない。

 北京オリンピックで地方から集められた労働者が、仕事がなくなり地元にも帰れずに、都市部で浮浪者の状態にあるという記事も、目にしたことがある。そういった貧困層の人たちが都市部で暴動を起こしているという噂もあるとか。

 最悪のケースを考えれば、大多数を占める市民が、一部の特権階級である中国共産党に反旗を翻して内戦、ということにもなる。

 もちろん現実的には、中国共産党がそのような状況にしないために、アメとムチをうまく使い分けて、大規模暴動や内戦などといったことは起こさないとは思う。

 それでも、そんな不安を抱えたまま、中国の大多数の人たちが日本人と同レベルの所得を持つとは、私にはとても考えにくい。

 奇しくも、昨日のニュースで、中国の前四半期の GDP の伸び率が9%と、早くも一桁台に落ちたと言っていた。世界経済の悪化の影響ももちろんあろうが、北京オリンピックで無理に無理を重ねてきた反動が出たもので、ふたたび  GDP の二桁の伸び率に戻ることは難しいのではないかと、私には思えて仕方がない。

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