大企業の経営者は保護されすぎてはいまいか
前回に引き続き、今回も企業経営者についての意見を少し。
ビッグ3、国にすがる 公的資金、生き残りへ頼みの綱
asahi.com [2008年11月9日]
少し前に、世界最大の保険会社 AIG が公的資金(=税金)の注入を受けた。さらにその前には、連邦住宅貸付抵当公社(フレディ・マック) と 連邦住宅抵当公庫(ファニー・メイ) が国有化された。
いずれも連鎖的な倒産を防ぐことと、一般市民の財産を保護することを理由に、それらの企業を倒産させずに救済した。
そして今度は、自動車会社のビッグ3だ。こちらも、もし仮に倒産したとすれば、従業員や年金をもらっている退職者が大きな影響を受けるだろう。
それはわかる。
被害をこうむる一般国民が多くなれば、それだけ社会状況は悪化して、社会生活はいっそう困難なものになる。
そういった最悪の状況を回避するため、従業員や預金者、保険加入者を保護するために、影響量の大きな企業を救済するのは仕方がないと思う。
ただし、救済するのは、従業員や預金者、保険加入者 であるべきだ。ところが、実質的には、従業員や預金者、保険加入者 を保護する名目で、超高額の報酬を得ている企業経営者たちを救済している。
その企業が倒産の危機に陥ったとすれば、それは経営者の責任だ。
にもかかわらず、公的資金を注入するために、経営者の責任を問わないケースがほとんどだ。これが私には納得できない。
保護するのは、企業であり、従業員であり、預金者や保険加入者 であるべきだ。失敗した経営者ではない。公的資金を注入する前に、それだけの損失を出した経営者の財産を、まず注入して当たり前だと、私は強く思っている。
考えてみれば、歴史的に権力者が、その権力を支えている人たちの窮状を、権力を使って強引に救済しようとしたことは、よくあることだった。
徳政令はよく知られている。鎌倉時代が有名だが、平安時代から貴族の借金放棄は行われていたらしい。幕府の権力を支えている御家人を救済することで、幕府を存続させようとしたが、結局は経済の破綻を招いて、幕府を崩壊させる原因のひとつにもなった。
現代の政府による公的資金の注入による企業救済も、超高額報酬をもらっている大企業の経営者の救済のように、私には思える。言うまでもなく、大企業経営者は現在の政権内政治家や官僚の資金源となっている。
一般労働者は、医療負担が増え、年金負担が増え、税金が増え、得られる社会保障が減ってたいへんな思いをしている。一方で、大企業経営者ばかりが失敗をしても責任を問われずに高額報酬をもらい続ける。
昔のソ連のように 「働きに関係なく収入は同じ」 にしろと言うつもりはない。ないが、現在は逆に、「同じ働きをしても、正社員か派遣社員かで収入が大きく違う」 というのは、反対の意味で大きな問題だと思う。
前にも一度行ったような気がするが、正社員と派遣社員とで、企業が支払う賃金体系を今の逆にすべきなのだ。
つまり、いつでも契約を解除できて人件費の調整をしやすい使い勝手のよい派遣社員の賃金を高する。一方で、安定的な雇用を保証する正社員の賃金を低くする。もちろん、同じ仕事をしたとしてだ。
契約期間が短ければ短いほど、労働単価が高くなるように定めるべきだろう。
そうすれば、企業経営者がコスト削減のためだけに、安易に派遣労働者に切り替えることもなくなるだろうし、労働者側にも選択の幅が出来る。
今はとにかく企業(というよりは、企業経営者)に都合のよい方向にばかり法律が変えられているように思う。
企業を保護して雇用を確保することは重要だと、私も思う。
しかし、だからといって、企業ばかりに都合のいいように労働者を使い捨てできるような仕組みは、やはり私には間違っているようにしか思えない。
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