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2008/11/12

無理をして経済発展させても長続きしないと思うのだが

 少し前にこんなニュースがあった。

インド・「ナノ」計画頓挫、海外からの投資へ悪影響
 asahi.com [2008年10月5日]

 記事はすでに見られなくなっているの。概要は以下のようなものだ。

インド西ベンガル州でタタ・モーターズが計画していた「ナノ」の工場建設が、
農民らの反対運動で頓挫し、経済発展で一歩先を行く中国との投資環境の
「違い」が露呈した。

インドでの工業団地建設は緒に就いたばかり。法的なインフラ整備に加えて、
強い政治意識を持つ農民とどう折り合いをつけるかも課題だ。インドの経済団体の
関係者は「中国と違って、経済発展はゆっくりとしか進まないだろう」と話す。

 この記事を読むを読む限り、「中国のやり方が正しくて、インドではその正しいより方が出来ない」 と言っているように聞こえる。

 言うまでもなく、インドは世界一人口の多い “民主主義国” だ。一方で、改革・開放、自由経済化が進みつつあるとはいえ、中国は “独裁国” だ。

 つまり、経済を効率的に発展させるためには、中国のような独裁的なシステムの方がよい、と言っていることになる。

 そういう書き方に、私は大きな疑問を感じる。

 日本でもその昔、政府・官僚による強制収用によって成田空港を作った。しかし、地域住民や地域以外からの支援者の猛抗議にあい、成田空港は計画通りに建設が進まず、いまだにそのときの悪影響が残っている。

 強制収用が必ずしも効率のよい方法ではないことの、良い(悪い?)例ではなかろうか。

 独裁国といえども、接収される側は人間だ。強権によって接収されて、いつまでも素直に従っているとも思えない。

 そしてそもそも、急速に経済を発展することが本当に正しいのだろうか? 私はそこにこそ、根本的な疑問を持っている。

 日本は戦後、確かに高度経済成長を成し遂げた。それでかなりの部分で成功した。しかし、それは戦前までの高い技術力や教育といった基盤があったからこそ、なしえたことだ。それでも、日本は公害問題という負の部分も抱えることになった。

 ましてや、社会全体の蓄積がない状態で、表面的に日本をまねたとしても、むしろ負の部分ばかりが大きくなり、全体としてみるとマイナスの方が大きくなってしまうのではなかろうか。中国で言えば、“地域格差の拡大”、“大気汚染”、“環境破壊” といった点だ。

 かなり以前に、山を一つダイナマイトで吹き飛ばす開発を、中国が大々的に報道していた。中国の開発のスケールの大きさを示したものだろう。

 しかし、山をなくしてしまえば、降雨量や風向きといった気象が変わってしまい、動植物に対する影響が少なからず出てくるはずだ。農作物に影響が出てきてもおかしくない。

 日本でも、“諫早湾干拓事業” による、深刻な漁業被害が出たことは、記憶に新しい。

 途上国の人が聞けば 「それは充分に経済が発展した国にいるから言えることだろう」 といわれるかもしれない。たしかにそうだろう。

 しかし、そうなる過程で様々な問題を経験してきたからこそ、言えることもあるはずだ。「背伸びをしたところで、本当の身長が伸びるわけではない」 ということを。

 ちょっとやそっとのことでは崩れない地盤を固めてこそ、安定した経済発展が行えるはずだ。ここ数日、日本でもやたらと取り上げられている “アイスランド経済危機” のニュースを聞くにつれ、つくづくそう思う。

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