大河ドラマ “篤姫” 全50話を見終わって
人気があった NHK 大河ドラマ 『篤姫』 が最終回を迎えた。私は、再放送から見始めたので、全50話を2ヶ月で見るという、短期集中型で見た。おかげで、初めのころの内容を忘れることなく、最終回を見られた。
視聴率や世間での取り上げられ方を見ると、このドラマ 『篤姫』 は成功だったといってよいだろう。
その成功の要因の一つは、“わかりやすさ” というのが、共通した評価のようだ。私も、そう思う。
実際に私も、この 『篤姫』 を見ていくことで、なぜ幕末があのような流れになったのかが、より明確に理解できたように思う。たとえば、、“井伊直弼” と “安政の大獄” は、私の頭の中では、はるか大昔の出来事のように感じていた。その一方で、“明治”、“西郷隆盛”、“大久保利通” は、比較的近代の事だと理解している。それが今回、西郷隆盛が安政の大獄で処分されたエピソードを見て、安政の大獄が実は近代の出来事であることが、私の頭の中で認識できるようになった。
限られた放送時間の中でわかりやすく描こうとすれば、物事を一面的にしか見せられないといった問題もあったように思う。それでも、わかりやすく描いて、多くの視聴者をひきつけたことは評価できると、私には思えた。
たまに、「わかりやすいモノは、レベルが低い。レベルの高いものは、難解なモノ。」 という意見を聞く。しかし私は、「『レベルの高いものは難解』などという人は、わかりやすくモノが作れないレベルの低い人の言い訳」 だと思っている。
とはいえ、しょせんはドラマ。あちこちで見られる “演出” もっと悪く言えば “ご都合主義” があからさまに見られたことには、私も苦笑せざるを得なかった。
悪役っぽく登場した人物たちが、退場するときには “いい人” で終わるのは、そのいい例だろう。篤姫に最初冷たく当たった “英姫”。安政の大獄を行った “井伊直弼”。三人の将軍に渡り大奥を取り仕切り当初篤姫と対立した “滝山”。徳川家茂を挟んで篤姫と対立した “和宮”。和宮を守るために大奥に来た和宮の母 “観行院”。などなど
皆、篤姫とかかわったことで、生き方・考え方が大きく変わったという演出をすることで、篤姫の影響力の大きさを表現しようとしたのだろう。ただ、私にはあまりにもあからさますぎて、苦笑するしかなかった。
ドラマから離れて、歴史的な観点から見ると、私には篤姫を全肯定しすぎてる点も、気になった。
例えば、幕末の頃の幕府の財政は逼迫していたにもかかわらず、強行に大奥の現状維持にこだわった篤姫の行動。自らの家、家族、身内を守ることは、人としてごく当たり前のことで、それについて批判するつもりはないし、そもそも批判できるものではない。だが、結果論ではあるが、大奥の固執が徳川政権を縮めたのではないかと、私には思える。
国の借金が膨れ上がっているにもかかわらず、予算の獲得が自分の出世に重要なために、膨大な予算を要求して、与えられた予算はなにが何でも使い切る役人の姿とダブってしまった。
この件に限らず、老中達の先例主義、自らの地位保全のための行動、都合の悪い情報の隠蔽、といった、現在の政治状況を髣髴とさせる描き方は、篤姫の製作者側が意図的に行っている演出としか思えなかった。
なんだかんだ言ったが、篤姫 全50話を見てよく出来ていると感じた。ひさびさに NHK 受信料を払っていて良かったと思えた。
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