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2010/03/01

100円の単三電池型USB式外部バッテリーで行ったいくつかの実験結果

 まあ、実験というほどたいそうなものではない。自分が使っていく上で、どの程度の性能があるかを確認しておきたくて、充電能力を簡単に測定してみた。

 測定の目的は、一番の目的である PSP への充電に 『どのくらい時間がかかるか』 と 『どれだけ充電出来るか』 を調べることだ。

 測定は、それぞれの条件で2回だけ。1回目で簡単に測定しておおよその目安をつける。2回目でもう少し細かく測定をする。

 測定方法は、PSP の [本体設定]-[バッテリー情報] で、“バッテリー残量” を見る。

 測定を始める前に、PSP内蔵バッテリーを消耗させて、バッテリー残量を 0%~15%程度に減らしてから、対象の方法で充電を行う。開始するバッテリー残量が毎回違うので、厳密な比較にはなっていないことに注意。

 実験に用いた充電ソースは、

  • PSP付属のACアダプター
  • リチウムイオンバッテリー Linkage ACL-03W
  • 100円USB電池BOX+SANYO eneloop
  • 100円USB電池BOX+TOSHIBA 1600mAh ニッケル水素充電池

の4種類だ。

 
1.ACアダプター

 まずは基準となるACアダプターで、どの程度の充電速度があるか測定した。

 ACアダプターに限らず、どの充電ソースでも、PSPのバッテリー残量が少ない充電開始直後は、急速に充電が進む。逆に、バッテリー残量が100%に近づくほど、充電速度は低下していく。

 そこで、バッテリー残量が30%~80%程度の比較的充電速度が安定しているところの結果だけを示すことにする。

  • 充電速度: 72~84%/1時間
  • 0%→100%にかかる充電時間: 約85分

 ただし、ここで気をつけて欲しいことは、バッテリー残量が100%と表示されても、充電は完了していないということだ。

 バッテリー残量が100%になっても、PSPの充電中を示すランプはずっと充電を示すオレンジ色で点灯している。充電を示すオレンジ色が消えるのは、、100%と表示されてからさらに1時間以上経過してからだ。このことは、以前に紹介したこちらのサイト “気の迷い” でもしっかりと報告されている。

 上記のサイトでACアダプターの最大電流が720mAとあるので、かなり乱暴なのだが、

  『ここでの充電速度84%』≒『720mA』
   ⇒ 8.6mA/%

という等式を以後の測定で使う。

 
2.リチウムイオンバッテリー Linkage ACL-03W

 この ACL-03W は結構強力で、PSP の電源を入れてゲームなどを実行していても、PSP を動作させながら同時に充電も行うだけの能力を持っている。“気の迷い” サイトの実験から計算すると、250mA以上の出力をしていることになる。

 で、実際に PSP の電源をオフにして充電を行うと、

  • 充電速度: 30~32%/1時間
  • 最大充電量: 50~60%
  • 充電時間: 60分~75分

という結果だった。

 先ほどの等式を当てはめてみると、

  258~275mA

となる。ということは実は PSP 本体を駆動させるだけの出力しかしていないようだということのようだ。ちなみに、ACL-03W の仕様では、“5.3V 500mA” とあるので、もう少し高速に充電できてもよさそうだが、もしかしたらバッテリーがすでにある程度劣化しているためかもしれない。

 
3.100円USB電池BOX+SANYO eneloop

 さて、いよいよ本題の100円USB外部バッテリーだ。

 結論を書くと、

  • 充電速度: 約18%/1時間
  • 最大充電量: 約80%
  • 充電時間: 約260分

となった。

 これも等式に当てはめると、

  約155mA

となる。たしかにこの電流量では、電源オンのPSPを駆動することは出来なさそうだ。

 
4.100円USB電池BOX+TOSHIBA 1600mAh ニッケル水素充電池

 我が家には昔買ったニッケル水素充電池が多く残っている。この TOSHIBA 1600mAh のニッケル水素充電池も、もう10年以上前に買って使っていたものだ。最近では、Wii リモコンの予備電池として使っている。

 さて、測定結果だ。

  • 充電速度: 10~12%/1時間
  • 最大充電量: 約40%
  • 充電時間: 210~240分

eneloop のほぼ半分の性能だ。

 出力電流は等式から、

  86~103mA

となる。

 1600mAh や eneloop での 100~150mA という数値を、“気の迷い” サイトで調べてみると、出力電圧が4.7V前後であることがわかる。そして、この4.7Vという数字は、“JR7CWK'sぶろぐ”サイト で報告されている

・ PSP電源OFFでなんとかPSP充電ランプが点灯(橙)
 ただし、無負荷では約5VあったUSB出力の電圧が4.7V程まで低下している。(ちなみにこの時のNiMH電池の電圧は2.16V程)
・・・先に書き込んだ負荷特性グラフからすると電流は200mAまで流れているかどうか、といった所。

という部分と面白いほど一致している。

 
結論

 結論というほどたいそうなものではないが、今回の測定でそれぞれの充電ソースの使い方は、はっきりさせられたように思う。

  • AC電源があるところであれば、素直にACアダプターを使う。これがもっとも効率的に充電できる。
  • PSP を野外で長時間連続で使用する場合は、ACL-03W といったリチウムイオンバッテリーが向いている。ニッケル水素充電池2本をつかったバッテリーでは PSP を駆動することが出来ない。
  • 野外で PSP の電源を切って充電できるのであれば、eneloop をつかった100円USB外部バッテリーも実用的になる。eneloop 2本セットだけでも PSP を80%充電でき、さらに予備で複数本 eneloop を持っていれば、リチウムイオンバッテリーよりも多く充電できるようになる。

 “100円USB電池BOX+SANYO eneloop” という組み合わせは、コストパフォーマンスがリチウムイオンバッテリーよりもはるかに高い。eneloop 用の充電器を別途用意しなければならないという点は残るものの、eneloop 2本であれば1000円以下で買える。USB電池BOXを入れても1000円以下にになる。これで2500円程度のリチウムイオンバッテリーよりも多くPSPに充電できるのだから、使い方さえ間違わなければ十分に価値があると思う。

 
余談

 前回の記事で要注意した 「ニッケル水素充電池の過放電現象」 についても簡単に調べてみた。

 3時間半が経過してから約10分毎に、eneloop を USB電池BOXから外して1本ずつテスターで電圧を測ってみた。その結果が下の表だ。

経過時間バッテリー残量電池電圧
0分 74% [1.15-1.17V]
12分 76% [1.14-1.16V]
22分 78% [1.13-1.15V]
32分 80% [1.10-1.14V]
42分 82% [1.05-1.10V]
52分 83% [0.86-1.05V]

 経過時間は、3時間半からの経過時間だ。電池電圧は2本それぞれの電圧である。

 これを見ると、最後の10~15分ぐらいで急速に電圧が1.0Vを切る様子がわかる。さらに、この測定では電圧を測るために毎回 eneloop を取り外しているため、そのたびに eneloop の電圧がわずかに回復することを考えると、実際の連続使用では、もっと急速に eneloop の電圧が下がっていくものと思われる。

 そう考えると、充電時間が4時間以下でPSPとの接続を切り離して、eneloop を充電した方がよさそうである。

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