COWON iAUDIO9 の使い勝手
いろいろ比較をして最終的に選択した COWON iAUDIO9 なのだが、私自身は日常的に使っていない。オーディオCD から音楽を取り込んだ後に、きちんと取り込まれているのか確認のために操作をしたり音を聞いたりする程度だ。
なので、音質の善し悪しや、効果的なイコライザーの設定などは、まったく分からない。私にわかるのは、使い勝手の善し悪しだけだ。
iAUDIO9 の写真を見てもらえばわかるが、操作系が一般的な + ではなく、× の形をしている。操作部分に簡単な説明をつけると、こんな感じになる。
なぜこんな形になっているかといえば、この操作系をそのまま左に90度回転した状態でも使うためだ。
iAUDIO9 の液晶画面は、縦持ちでは横240ドット×縦320ドットという縦長になっている。一般的なケータイと同じだ。だが、この状態で動画を再生すると、上下に空白が生じてしまいよろしくない。動画を再生するときは、左に90度回転させて横320ドット×横240ドットで表示させると極めて都合がよい。
もし、操作系が + であった場合、左に90度回転させると、上下操作で選択したり動画の再生ポイントを移動させたりしなければならなくなる。見せ方を工夫すれば、それはそれなりに使えるようになるとは思うが、縦向きで使っている時とあまりに操作系が違ってきてしまう。開発する人たちは、おそらくその点を一番問題にしたのだろう。
実際、私の持っているケータイ S002 のワンセグ機能では、縦向きでも横向きでもテレビ画面を表示できる。縦向きでは、上下キーで音量調整、左右キーでチャンネル切り替え、となっている。横向きでもその操作キーがそのまま使われるため、実際に使ってみると、“上下キーでチャンネル切り替え、左右キーで音量調整” となり、いまだに操作を間違ってしまう。
そういうことを実際に体験していると、この × 型の操作方法をそれなりに納得してしまう。あとは慣れてしまえば、+ 型よりも操作の間違いは少ないように思う。縦向きであれ横向きであれ、物事を進めるときは右向きに操作をすればよい。右上方向だろうと右下方向だろうと、指を右方向になぞれば選択肢が先に進むというのは、上下キーで左右に選択肢が移動するより、はるかにわかりやすい。
とはいえ、この × 型での操作でどうしても馴染めないケースがある。選択肢がマトリクス状に表示されている時だ。
選択肢がマトリクス状に表示される場合、よく使われる方法は、
- 上下左右4つのキーを使って、上下左右自由に選択肢を移動できる。
- 左右キーを使って、右端の選択肢でさらに右キーを押すと一段下の左端の選択肢に移動する。
- 上下キーを使って、下端の選択肢でさらに下キーを押すと一列右の上端の選択肢に移動する。
となる。
だが、× 型操作系では、選択肢移動が1次元なのに単純な上下移動や左右移動にならない。実際の移動は下の図のようになる。
たしかに、右上⇔左下の操作に対しては、連動しているといえる。しかし、日常的に左→右&上→下 の操作系を使っているため、何度使ってもこの移動経路には違和感がある。選択肢を左→右に移動させようと、スライダーで左下⇒右上と操作すると、今度は選択肢が 下→上 へと移動して、やはり違和感がある。
これも “慣れの問題” と言えなくもないのだが、他ではなかなか見られない操作系のため、やはりいつまでも違和感が残るのではなかろうか。
そういえば、フラッシュが再生できるということで、フラッシュで作られた 『テトリス』 を入れてプレイしてみた。動作という点では問題なくプレイできたものの、操作系がやはり特殊なため、楽しむという点ではちょっと厳しいかもしれない。
最後になってしまったが、物理的な凹凸のない iAUDIO9 の操作パネルの使い勝手は、悪くない。静電方式のため、指以外触っても誤動作することがない。操作した時の反応性もよく、なかなか反応しなくていらいらすることもない。ただ、銀行のATMで操作を受け付けてくれないような乾燥肌の人(うちのカミさんとか)は、もしかしたら操作しにくいかもしれない。
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ユーザビリティとは全く関係の無い話だが、この iAUDIO9 はちょっと不具合が多い気がする。それも、細かい不具合ではなく、ボタンを全く受け付けなくなったり、リセットさえも効かなくなる不具合が、しょっちゅう起こる。
リセットボタンが効かなくなっても、大抵はバッテリーが切れるまでほっておけば、自動的にスリープ状態になり、充電をしてから電源を入れ直すことで、何もなかったように使うことができるようになる。
ただ一度だけ、復帰したあとに中のファイルが全く見られなくなったことがあった。ファイルの管理領域が破損したようだった。その時は、幸いパソコンからすべてのファイルを取り出せたので、バックアップ → iAUDIO9フォーマット → ファイルの書き戻し、で復旧させた。もっとも、お気に入りリストなどは消えてしまったが。
不具合が多いのは COWON 製品全般にいえるようなので、仕方がないと思うしかない。あの小さい筐体に、音楽再生だけでなく、画像表示、動画再生、FMラジオ、さらにはフラッシュ再生まで組み込まれているのだから。
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コメント
はじめまして。ちょっと気になったのでコメントさせていただきます。
>不具合が多いのは COWON 製品全般にいえるようなので
自分はCOWON S9を2年愛用。iAUDIO E2を半年愛用しております。
しかし、どちらもリセットボタンを押したことは一度もなく、動作も良好です。ですから、不具合が多いのはCOWON製品全般というのは違うのでは?なんて思ったりしました。
投稿: HABIKINO | 2010/05/25 00:20
HABIKINO さん、こんにちは。
コメントをいただき、ありがとうございます。
HABIKINOさんが使われているCOWON製品では、不具合に遭遇していないとのこと。羨ましく思います。
私が 「不具合が多いようだ」 とコメントしたのは、いくつかの Wiki サイトでの不具合報告や、2chのCOWON関係のスレッドでパソコンに認識されない時の対処方法がテンプレートに書かれていることから、判断したものです。
私も仕事でソフトウェア開発のテスト業務をしていた経験から、一方のパソコン環境では全く問題ないのに、他方のパソコン環境では問題が立て続けに起こる、ということはよく経験しています。
今回の iAUDIO9 の場合も、私の使い方、例えばファイル名/フォルダ名の付け方や MP3 タグのつけ方、等々の細かいところで、十分にテストされていない状況にはまったのかな、と感じています。
そういった細かい話はさておき、HABIKINOさんの 「二つの製品で2年半不具合がない」 というコメントは、これからCOWON 製品を買おうとしている人には、貴重な意見だと思います。それをきちんとコメントしてくれたことに感謝します。
またなにか気がついたことがあれば、どんどん指摘していただかれば、私としても嬉しく思います。
投稿: マスト | 2010/05/25 13:31