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2011/03/10

3DS = DSi + バーチャルボーイ + α

 今回の記事は、ニンテンドー3DS を一週間ほど使った時点での感想だ。

 なお、この時点で私は 3DS 専用のゲームを買っていない。ここまでの感想は、すべて 3DS に初めから内蔵されているミニゲームやツールを遊んでの感想だ。 


 本体の名前の由来にもなっている “裸眼による 3D 液晶表示” であるが、私はそれほどすごいとは感じなかった。たしかに 3D 表示をオンにすれば奥行きが感じられるし、飛び出して見える場合もある。

 だが、きれいに 3D 表示が見えるのはかなり限られた位置から見た場合のみであり、近づきすぎたり、斜めから覗き込んだり、本体を傾けたりすると、とたんに 3D 表示が破たんしてしまう。

 2D 表示でも解像度が高くなったせいか、立体感がかなり出ている。そのため、見やすさを優先して、私は 2D 表示にしている場合がほとんどだ。

 そもそも、私が理想と考えている 3D 表示は、単に奥行きが感じられたり飛び出して見えることではない。以前にも記事にしたことだが、見る位置を変えることで、見えてくるものが変わってくること、が 3D 表示の本質だと、私は思っている。

 つまり、図1 のように見ている状態から、

Image2
図1 画面の正面から見た場合

図2 のように見る位置を変えた時に、表示領域に映っているモノが違ってくることを、私は 3D 表示に期待している。

Image3
図2 期待される画面の端から見た場合

 ところが、現状の 3DS では、図3 のように見る位置を変えても、表示領域に映っているモノは何も変わらない。たとえ見た目に奥行き感があったたとしても、これでは 2D 表示と何ら変わらない。むしろダブって見えたりと、3D 表示のほうが劣化している。

Image4
図3 実際に 3DS で画面端から見た場合

 結局、3DS で別な角度で表示させようとすると、図4 のように 3DS 本体の向きを変えなければいけない。これでは頭からかぶって眼鏡のように装着する “ヘッドマウントディスプレイ” となんら変わらない。

Image5
図4 3DS で見え方を変える場合

 私がこの記事のタイトルで、“バーチャルボーイ” を持ち出したのはそういう意味を込めている。

 もっとも、図4 のように 3DS 本体の向きを変えると見えているモノも変わってくるというのは、3DS にジャイロセンサーが組み込まれているおかげだ。これはバーチャルボーイにも DSi にもなかったモノだから、その点は 3D 表示をするうえで大きな前進だと思っている。


 ところで、完成度に難があったと評価されたため、ヒットしなかった DSi ウェアの 『立体かくし絵 アッタコレダ』。私自身も購入して遊んだわけではないものの、方向性としては正しいと思っている。

 これが 3DS 用に書き直されて、ジャイロセンサーも併用して完成度を高めれば、いろいろなゲームに応用でできそうに思える。もし、顔認識の精度が上げられないのであれば、マーカー付きのカチューシャを同梱してもよいのではないかと思っている。あるいは、メガネのフレーム取り付けられるマーカーでもよい。そうやって、顔の位置や向きを高い精度で捕捉できるようになれば、1人称のシューティングゲームで、顔を動かして弾をよけたり、物陰に隠れたりもできる。

 ただ、3D 表示は見る位置を固定しなければならないため、顔を動かしてのゲームは 2D 表示限定になってしまう。3DS の売りである 3D 表示をわざと殺さなくてはならなくなるため、任天堂がそのようなゲームはおそらく出さないだろう。


 そうやって考えていくと、“3DS” と命名して 3D 表示を前面に押し出す、あらゆる広告で 3D 表示を最大の売りにしている、にもかかわらず、任天堂は、実は、「“裸眼 3D 表示液晶画面” が 3DS の最大の売り」 とは内心では思っていないように私には思えて仕方がない。   

 そもそも、本当に 3D 表示が 3DS の本質なのであれば、3D 表示をオフにするスイッチはつけなかったと思う。逆に言えば、3D 表示をオフにして 2D 表示にしても、3DS の価値が損なわれないと任天堂は考えている、と私には思えてしまう。

 では、3DS の本質なにか?

 私個人として、“ジャイロセンサー” と “すれ違い通信”、そして “標準装備された Mii ” だと思っている。実際、それらからうける恩恵はとても大きいと、私なんかはすでに感じている。

 それでも、一般大衆にアピールするのに一番インパクトがあるのは、やはり “裸眼 3D 表示” だ。体験した人が、一目で従来の DSi から進化したことがわかるからだ。

 結局、一般大衆にわかりやすい 3D 表示をきっかけにユーザーを取り込んで、ジャイロセンサーやすれ違い通信の楽しさを徐々に理解してもらおうという戦略なのだろうと、私は勝手に想像している。

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