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2011年10月の2件の記事

2011/10/28

TPPに関して思うこと

 2011年10月27日現在、TPP (環太平洋戦略的経済連携協定) の交渉に参加するかどうかで政府も国会ももめている。

 私個人の TPP に対する考えは 『参加すべきでない』 である。

私は経済の専門家ではないし、貿易の専門家でもない。単なる1市民の考えでしかない。得られる情報も限られているし、その限られた情報から下した判断なので、大きな勘違い・思い違いで判断している可能性も高い。

 それでも 「TPP に参加すべきでない」 と、強く思っていたりする。

 その大きな理由の一つが、

    「『現在の状況が今後も変わらない』、ことを前提にしている議論の話しか聞こえてこない」

点にある。

 たしかに現在は、日用品や食料品等を他国から好きなだけ輸入することができる。むしろ、米国や中国は、積極的にモノを買わせようとしている。

 しかし、歴史を見ればわかるように、一時の状況が未来永劫まで続くことはありえない。貿易品に限ってみても、“オイルショック” や “砂糖・小麦粉・コーヒーの品不足”、“レアアースの輸出制限” 等々、それまで簡単に輸入できていたモノが、急に輸入できなくなることが幾度も起こっている。

 仮に、TPP に参加をして、一時的に安価な食料品が大量に輸入されたとする。日本の一次産業は、かなりの縮小を余儀なくされる可能性がある。

 そして、もし、その後に世界規模の食糧不足が発生したら、日本は他国以上に食糧不足になってしまう。輸出国に 「売らない」 と言われれば、輸入することはできなくなってしまうのだから。そして、それまでに失われた農地や農業技術を復活させるのは容易ではない。

 「いや、農産物の輸出もしやすくなるのだから、日本の農業も拡大するはずだ」 という意見もあるだろう。私も、そうなる可能性は十分あると思っていた。3月11日までは。

 3月11日以降に、福島の原子力発電所が放射能漏れを起こして、日本の農産物を輸出できる機会は永久に失われた、と、私は思っている。

 以前にこういう話を聞いて、妙に納得してしまった。

     「店先で買おうと思っていたショートケーキに、ハエが止まっているのをあなたは見た。ハエは歩き回らずにそのまま飛んで行ってしまったが、さて、あなたはそのショートケーキを買う気になるだろうか?   
     理屈から言えば、ハエが止まっていた部分を排除すれば、ハエが止まっていないショートケーキと何ら変わらないはずだ。しかし、『ハエが止まった』 という事実、それだけであなたはそのショートケーキ全体が汚染されたように感じるはずだ。   
     ショートケーキを 『日本』、ハエを 『福島原発』 に置き換えれば、汚染されているのは福島原発周辺だけであろうと、海外から見れば、日本全体が汚染されているように感じてしまうはずだ。」

 放射能汚染されたように感じる農産物を、どこの国の誰が買いたいと思うだろうか。逆の立場であれば、私は買いたいとは思わない。なぜなら 『中国産』 というだけで購入にかなり抵抗がある私がいるからだ。


 今後の世界的な人口増加に備えて、自国でなるべく食料をまかなえるようにすることが最も重要なことだと、私は思っている。証券取引がなかろうが、自動車がなかろうが、コンピューターやケータイがなかろうが、人間は生きていける。しかし、食べるものがなくなれば、人は生きていくことができない。どちらが最重要かは、自明であるように私には思える。

 そして、人口減少。世間一般には、人口減少は労働人口の減少や市場規模の縮小として、悪いこととされている。しかし、日本の狭い国土で自給自足を考えた場合、むしろ人口減少は都合がよいととらえることもできるのではないだろうか。

 北欧には日本よりはるかに人口が少なくても、日本と同等以上に豊かな生活を送っている国がいくつもある。

 その昔、「巨大戦艦と巨砲こそが強い軍事力の証」 という時代があった。だがその後、戦艦よりはるかに小さい航空機と空母の組み合わせが、巨大戦艦を時代遅れにした。人間社会も似たようなことが起こっているのではなかろうか。

 巨大な組織を作って、数の力で国力を誇る時代が過ぎ去り、情報機器を使って個人同士が直接つながって大きな力を持つ時代になってきているように思える。

 その意味で、人口 (というよりは安価な労働力) を意図的に増やすために、安易な移民受け入れには、私は絶対に反対である。欧州の移民政策の失敗を見るとなおさらそう思う。


 ところで、

私が学生の時、『生類憐みの令』 は “天下の悪法” と教わった。それが最近では、「生類憐みの令 は当時の日本人に 『生命の尊重』 を植え付けた画期的な法律だった。そして、現在の海外に賞賛されている日本人のモラルの高さに結びついている」 という評価になっているという話をよく目にする。

 もちろん行き過ぎた部分もあっただろうし、当時の人たちにしてみれば、それまでの価値観を180度ひっくり返されるわけだから、“天下の悪法” と言われても仕方がなかったのだろう。

 ひるがえって現在を見ると、『経済成長』、『グローバル化』 といった価値観が正しいものとされている。それを私は “経済絶対主義” と表現した。

 しかし、国土が焼け野原となり、食うにも困る時代に有効だった価値観が、十分に社会資本が整備されて世界有数の経済大国となった時代にも有効とは限らないと思う。

 とはいえ、国の在り方を根本的に変えるためには、システムを根本的に変えなくてはいけない。そして、今現在のシステムを規定している法律があり、その法律下で権力を持つ人たちがシステムを変えようとするとは到底思えない。

 近年、日本が過去のしがらみとらわれずにシステムを変えられたのは、“太平洋戦争敗戦” と “明治維新” だ。どちらも当時の法律に縛られない 『超法規的なやり方』 で日本の古いシステムを刷新して、日本を変えてきた。

 とすると、閉塞感ばかりが蔓延している今の日本を刷新するには、やはり “超法規的な力” が必要なのかもしれない。それがどんなものなのか、私には到底想像もつかないが。

 欧米では、「一握りの人たちが富を独占している」 ことに対する抗議デモが起こっている。日本でも似たような小規模デモは起こっているようだ。しかし、デモが大規模となり、暴徒化するようになる前に、権力や富を握る人たちが自らが率先して国のために身を削っていってほしいのだが、九州電力の経営幹部のありよう等を見ていると、どうやらそのような事態は期待できそうにないのが残念で仕方がない。

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2011/10/03

P42-HR02 と VDR-R2000 の使い勝手の比較をしてみた

 maxell VDR-R2000 は、日立のテレビ Wooo 07 シリーズをもとに作られているといわれている。maxell は日立の子会社であるし、実際、機能やユーザインタフェースを見る限り、Wooo 07 シリーズから映像表示機能 (とトランスコード機能の一部) を取り外したものと思われる。

 ということで、2008年発売の P42-HR02 と 2011年発売の Wooo 07 シリーズで、自分なりの使い勝手の比較をしてみた。


リモコン

VDR-R2000Remote
P42-HR02 VDR-R2000 P42-XR07

 余談になるが、我が家の P42-HR02 のリモコンは、だいぶくたびれてきている。何度か床に落としていることも影響しているだろうが、よく使うボタンの反応が鈍くなってきている。電源ボタン や 戻るボタン は強く押し込まないと反応しづらい。「3年も」 なのか 「3年しか」 なのかは意見が分かれるところだろうが、私としては 「3年しか」 使っていないのに、という気持ちだ。とまぁ、これは使い勝手とは直接関係のない話だった。

 P42-HR02 と VDR-R2000 のリモコンを比較すると、ボタンの一つ一つが VDR-R2000 の方が大きく押しやすくなっている。押したときの感触も VDR-R2000 の方がよい。

 ちなみに、一番右の P42-XR07 のリモコンと VDR-R2000 のリモコンを比べるとよく似ていることがわかる。

 P42-HR02 と VDR-R2000 では、リモコンの機能にほとんど差はない。ただし、ボタンの配置が若干変わっている。特に使い勝手で大きく異なるのは 「早送り/巻き戻し(サーチ)」 と 「スキップ」 のボタン配置だ。

 P42-HR02 では、「早送り/巻き戻し(サーチ)」 同士、 「スキップ」の左右同士が隣り合っている。それに対して、VDR-R2000 では、再生・停止といったボタンを挟んで、右側に 「早送り」 と 右の 「スキップ」。左側に 「巻き戻し」 と 左の 「スキップ」 が配置している。

 使いやすさは慣れの影響が大きいが、わかりやすさという意味では、VDR-R2000 の進ませる機能を右に、戻る機能を左に配置する形式の方が、わかりやすいと感じる。

 また、P42-HR02 では、「30秒送り」 ボタンと共有していた 「番組検索」 ボタンが、VDR-R2000 では一番使いやすい位置の大きな 「さがす」 ボタンとして独立している。おそらく、当初は番組検索をおまけ程度に考えていたのが、実はユーザーにとって重要な機能であることに気が付いたためではなかろうか。

 リモコンそのものの形状もだいぶちがう。P42-HR02 のリモコンが一様な厚さなのに対して、VDR-R2000 のリモコンは、手前になるにしたがって厚さが薄くなる。しかも、リモコンの裏面に2か所、横溝がついており、人差し指をリモコンにひっかけやすくなっている。その形状により、VDR-R2000 のリモコンの方が圧倒的に持ちやすい。

 また細かいところでは、VDR-R2000 のリモコンには下向きの赤外線発信部もついており、リモコンを立てて使っても、きちんとリモコン操作ができるのがよい。


チャンネル切り替え

 テレビ放送がデジタル化されて、チャンネルの切り替えに時間がかかるようになった。デジタル放送の仕組み上仕方のないこととはいえ、使う側としては気分のいいものではない。 

 チャンネルが切り替わる速さは、VDR-R2000 の方が若干早いかな、と感じる。しかし、明らかだと感じるほどではない。

 P42-HR02 は、チャンネルを切り替えた時に、画面右上にチャンネル番号が出るだけだ。それに対して、VDR-R2000 は、画面上端にチャンネル番号だけでなく、今放送されている番組のタイトルが表示される。これは確実に VDR-R2000 の方が使い勝手が良い。民放の場合、チャンネルを切り替えた時にコマーシャルに遭遇する確率がなぜか高い。そんな時も、VDR-R2000 であれば、番組表や番組情報を見ることなく、どんな番組をやっているかが、チャンネルを切り替えるだけでわかるため、使い勝手が良い。

 Wooo には 「裏番組」 を見る機能がついている。メインの画面を切り替えることなく、画面下部に、他のチャンネルや録画した番組の情報を表示する機能がある。

 P42-HR02 では、文字情報だけでなく、映像も小窓で見ることができる。そのおかげで、2画面表示に切り替えずとも、コマーシャルをやっている間だけ他の番組に切り替えることが容易にできてとても便利だ。ところが、VDR-R2000 では、文字情報は出るものの映像は出ない仕様になってしまった。この点は、P42-HR02 の使い勝手が圧倒的に良い。


番組表・番組検索・予約一覧・録画番組一覧

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P42-HR02 VDR-R2000

 見た目にもっとも大きく変わったのは、番組表、番組検索、予約一覧 や 録画番組一覧といった、「表示インタフェース」 部分だろう。

 P42-HR02 のシンプルではあるが、シンプルゆえの見やすさがある。対して、VDR-R2000 は色をふんだんに使って見やすくしようとしているのだが、かえって見にくくなっている。

 表示速度に関して、全体としては VDR-R2000 の方が早いと思うのだが、表示が凝っているせいなのか、リモコンでボタンを押してからの反応が鈍い個所が VDR-R2000 ではいくつか見られる。たとえば、一覧表示でフォルダ部分からリスト部分へフォーカスを移動する時などだ。

 細かい点としては、一覧のスクロールの仕方に違いがみられる。

 P42-HR02 では、上下キーで1行ごとのスクロールが可能だ。それに対して、VDR-R2000 では1ページごとのスクロールしかできない。具体的に言うと、VDR-R2000 ではリストの一番下が選択されているときに下キーを押すと、一覧が次のページに書き換わって、次のページの一番上が選択される状態になる。P42-HR02 で同じ操作をすると、一覧表示の1行分上にスクロールをして、選択部分は一番下のままとなる。

 その説明だけではどちらの使い勝手が良いかわかりにくいが、一覧の最後の部分で使い勝手に大きな差がでてくる。

 たとえば、5行表示の一覧で、残り3行のスクロールをした場合、

 P42-HR02 では、

image

となる。どこまでが前のページで表示されていた部分で、どこからが新しく表示された部分なのか分かりにくい。

 これが VDR-R2000 では、

image

となる。リストの終わりに空白行ができるため、ここが一覧の最後だと分かりやすい。さらに前のページと重複して表示される部分がないため、すでに確認した内容かで悩む必要もなく、使い勝手が良い。


 

総合的にみて、VDR-R2000 (= Wooo 07) の方が使い勝手がよくなっていることを実感できる。3年間で明らかに進歩しているといえるのではなかろうか。

 ただ、独自の表示方式をやめて、Gガイドの提供する番組表を利用するようになったせいか、番組表が見づらくなったり、見たくもない広告が表示されるようになったりと、機能低下している部分も見られるのが残念だ。

 おすすめ番組表やキーワードによる自動録画機能は、私にとって無用の長物でしかない。それらのない昔のシンプルなインタフェースの方が、私は好きだ。

 そして、VDR-R2000 で一番退化していると感じたのは、

    「番組検索のキーワードを、番組表からもってこれなくなったこと」 だ。

 P42-HR02 では、番組表の番組情報から文字を切り取って、番組検索のキーワードに持ってくる機能があったのだが、VDR-R2000 ではそれがなくなっている。おそらく Gガイド に対応したために情報のやり取りができなくなったのだろう。

 番組を検索する時は、キーワードを完全に一致させないと検索してくれない。あいまい検索をしてくれないのだ。たとえば、私が最近よく見る番組に NHK の “趣味の園芸 やさいの時間” がある。検索キーワードに 『ヤサイ』 や 『野菜』 を入れたのでは、この “やさいの時間” を見つけることができない。番組を正しく検索するためには、番組表に記載されている文字をそのまま取り込める機能は、極めて使い勝手が良かった。

 以前にパソコンのソフトウェア開発をしていた時、いくら使われていないと思えるような機能であっても、バージョンアップでなくすことはできなかった。下手をするとリコール問題になりかねないからだ。家電はパソコンと違って、ソフトウェアとハードウェアが一体だからできることなのだろうが、私にはとても残念でしようがない。

            
            
maxell VDR-R2000            
            
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