カスタマーサービスについての話
怒れる消費者たちの逆襲
痛烈なブログや動画による苦情に企業はどう対応する?
BusinessWeek
NBonline [2008年3月3日]
私もこれまでに何度もカスタマーサービスにいらだってきた。記憶にある中で一番古いモノは、私が会社でテスターをしていた時だった。当時 NEC は独自仕様の PC-9821 シリーズを主力にしていた時で、環境テストのために購入した PC-9821用の周辺機器がどうもうまく動作しなかった。具体的なことは忘れてしまったが、とにかくカスタマーサービスに電話をした。ところが、担当者と話をしてもいっこうに話が進まなかったので、上司に代わってもらった。上司も奥歯に物が挟まったような言い方をするので、「対応しているのかしていないのか、イエスかノーかで答えろ」 的な聞き方をしたら、「・・・対応していません・・・」 とやっと小声で回答を得た。
このブログでも、何度かカスタマーサポートの不満をぶちまけてきた。シマンテック社の Norton 360 や PowerX Hard Disk Manager 7.0 の不具合に関する問い合わせだ。
両社に共通するのは、とにかく定型の作業で問題が解決しない場合は、お客(この場合は私)が使っているパソコンの状態が特殊、つまりお客の側に問題があり、自分達製品を製造・販売した側に問題はない、とする態度だ。
確かに、善良な客を装って企業から金銭的なモノを分捕ろうとする悪意のある者から、企業を守る必要もあるだろう。しかし、あまりにも企業を守ることばかりに重きを置いてしまうと、優良な顧客をも疑うことになり、最終的には優良な顧客を失うことになる。
大部分の顧客は問題があっても何も発言しない。ただ、無言で使うことをやめ、その企業から買うことを辞めるだけだ。だからこそ、数少ない企業に直接発言をする顧客を大切にしなければいけない。企業ブランド向上やマーケティングの解説本には必ず載っている話だ。ところが、実際にそれを実践できている企業は驚くほど少ない。
上記の記事では、YouTube といった動画投稿サイトを使って、企業の不誠実な事柄を訴えたり、企業の責任者に直接メールをして訴える事例が書かれている。私も自分自身の主張を広く世間の人に知ってもらう機会を得ようと、このブログを始めた。今のところ、社会現象を起こすような記事を書いていないのは、喜ぶべきか悲しむべきか悩むところではあるが。
ところで、私が好きな “ゴルゴ13” というマンガの第240話に 『システム・ダウン』 という話がある。イギリスの保険会社のアメリカ子会社のヨーコは、高額保険の支払いにゴルゴ13が絡んでいることを突き止める。そこでヨーコは、ゴルゴ13への連絡方法を遮断することで、ゴルゴ13への妨害を行う。という内容の話だ。
この話の中で、私が一番印象に残っているのが、保険会社の本社会長の言葉だ。
- 「アメリカの会社などはやたら細かい免責事項を設定しているが、我が社はそんなことはしない!」
- 「人が死ねば、そして、それが保険金詐欺でなければ、我が社は保険金を躊躇せずに払う」
- 「予定以上に支払いが増えれば、料率をアップすればよいのだ!」
- 「そもそもが不慮の死に備えるのが保険というシステムだ!
実に明快だ。サービスはそもそもこのぐらい簡潔で明快であるべきだ。日本の保険会社にいたっては、免責事項どころか本来支払う義務のものまでごまかして支払っていなかったのだ。
ソフトウェアのサービスもまたこうあるべきだと思っている。ユーザーごとにパソコンの環境は異なるわけで、それを理由にサポートの範囲外とするのは、ユーザーからすれば納得できない話だろう。別に保険金詐欺をしようとしているわけではないのだから。
中には知らないが故に、物理的・現実的に無理な要求をしてくるユーザーもいるだろう。その場合でもきちんとお客が納得できる断り方をすべきなのだ。ユーザーが 「なるほど。そういうことなら、私のやろうとしていることは無理ですね。」 と言えるようになれば、問題自体は解決しなくても、ユーザーが抱えている悩みは解決する。
そういう保険金の支払い方もあるということを、企業のカスタマーサービスは理解をして実践して欲しいものだ。
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