カテゴリー「学問・資格」の14件の記事

2010/01/14

最適な通訳学習環境はどこに (後編)

 前回、カミサンが通訳の訓練をするための海外ニュースの視聴環境を、家の大画面テレビ以外で見られるようにできないか、という相談を受けた話をした。そして、今回はその調査結果と今のところの私の結論について書く。

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 まず考えたのは、「家庭内LANでパソコンとつながっていれば、レコーダー内の映像を簡単にパソコンで見られるはずだ」 ということだ。 というのも、7年前にHDD/DVDレコーダーを買った時に、その次の世代の製品からLAN経由で録画映像をパソコンで見られるようになり、悔しい思いをしたからだ。

 だが、時代がデジタル放送になって事情が変わっていた。確かに 『DLNA』 という規格が制定されており、録画された機器以外で映像を簡単に見ることができるようになっていた。しかし、映像にコピープロテクトがされているデジタル放送では、コピープロテクトに対応した視聴用ソフトウェアが有償で別途必要とされ、さらにハイビジョン映像のためパソコンの性能もかなり高いものが要求されている。

 これではお手軽に録画映像をパソコンで楽しむというわけにはいかない。

 今まで2台続けて東芝のHDD/DVDレコーダーを使ってきたが、東芝がBDレコーダーを出していないので、BDレコーダーはパナソニックにしようと思っていた。そして、パナソニックのBDレコーダー サイトを見ていると、『ブルーレイディーガの番組を持ち出そう! 』 というリンクが目についた。その時、最近のBD/DVDレコーダーがモバイル機器に映像を転送できることを思い出した。

 だが、パナソニックのサイトを見たところ、ディーガの 『番組持ち出し機能』 に対応した機器を、我が家は一つも持っていない。

 ここでふと気がついた。自分もポータブル動画プレーヤーを持っていることを。そう、PSP (PlayStation Portable) だ。ただし、パナソニック製のBDレコーダーは転送先としてPSPに対応していない。でも、ソニー製のBDレコーダーならば・・・。

 はたして、ソニーのBDレコーダー サイトを調べてみると、予想通りに動画の持ち出し先として、ちゃんとPSPに対応しているではないか。

 これでどうやら我が家が買う新しいBDレコーダーが決まったように思えた。ところがそうは問屋がおろさなかったのである。

 ソニー製BDレコーダーの取り扱い説明書をダウンロードして詳しく調べていくと、私というかカミさんにとっては極めて重要なことが小さく書かれていた。

二か国語放送
録画する前に[ビデオ設定]の[二重音声記録](218ページ)を[主音声]または[副音声]にして録画してください。設定された音声が転送されます。

 そう、レコーダー外部に転送する映像に二か国語音声を入れることができないのだ。これではカミさんの最も重要な要求を満たすことができない。この時点で、ソニー製BDレコーダーとPSPの組み合わせは、完全に選択肢から消えてしまった。

 その後も、『パソコン用チューナーカード』 や 『LAN対応のデジタルチューナー』 をいくつも調べてみたが、やはりカミさんの要求を完全に満たしつつ、安価で取り扱いが簡単なソフトウェアもしくはハードウェアは、いまだに見つかっていない。

 コピープロテクトがかかっていないアナログ放送の時代であれば、パソコンに転送をして簡単に録画番組を見ることができてなんの問題もなかったのに、無料放送にもかかわらずコピープロテクトをかけたために、極めて使い勝手が悪なってしまった。「寒い時代だと思わんか・・・。」

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2010/01/12

最適な通訳学習環境はどこに (前編)

 私のカミさんは、英語が大好きだ。なにしろ学校に通って英検1級を取ってしまうほどだ。その昔、米国に1年半も生活しながら、英検5級さえあやしい私から見れば、まったくもって理解不能だ。

 理解できるかどうかはおいとくとして、今のカミさんは通訳業務を夢見て、毎日BSで放送されている米国や英国のニュースを見て訓練している。二か国語放送を左と右で同時に聞いているのだ。

 我が家のBS放送の視聴・録画環境は、一昨年に買った録画機能付きプラズマテレビだ。海外ニュースはたいてい二か国語放送(二重音声)になっているため、音声を 『日本語+外国語』 で録画している。そうすれば、再生するときに音声切り替えによって、「日本語のみ」、「外国語のみ」、「日本語+外国語」 が選択できる。

 カミさんにとって一番重要なのが、最後の 「日本語+外国語」 なのだ。同じ内容の日本語と英語を左右の耳で同時に聞いて、なおかつ内容をきちんと理解することが、通訳を行う上では重要だということで、日々、ニュース映像を見ながら訓練をしている。

 ところで、この録画機能内蔵テレビは、テレビ本体で環境が閉じているため、映像を外部機器に保存することがほとんど想定されていない。特にデジタル映像の出力は、世間的には普及していない iVDR-S が唯一の選択肢だ。

 そのため、カミさんが英語の勉強をするためには、どうしても我が家のメインモニターであるプラズマテレビを占有してしまう。一方で、子供もちょうどテレビドラマなどの番組が一番面白く感じる時期なので、カミさんが海外ニュースを見て勉強したいと思ってもタイミングよく見られないことも多い。

 カミさんにとっては英語の勉強をするのに大画面は必要ない。もっと言えば、音声が重要なのであって、映像は内容が分かる程度であれば十分なのだ。

 そこでカミさんは私に、「別なもっと小型の画面、例えばパソコンの画面で海外ニュースが見られないか?」 と相談してきた。

 だが私から見ると、それはそれほど簡単な問題ではなかった。

 すでに説明したように、我が家のテレビは録画環境が閉じており、録画した番組を外部に持ち出すのにとても手間がかかる。具体的に言えば、アナログ出力を使い、実時間をかけてダビングする必要がある。さらに、ダビングした番組にはコピープロテクトがかかるため、それを持ち出すのも、パソコンで視聴するのも、コピープロテクトに対応したメディアやソフトウェアを準備しなければならない。

 そう考えると、もう1台、BS放送を録画できて、映像を簡単に外部に持ち出せる機器を買った方が、ずっと実用的だと思えた。

 今持っているHDD/DVDレコーダーは7年前のアナログ放送専用機であり、あと1年半でテレビ放送は録画できなくなる。またDVD機であり、BD (Blu-ray Disc) は当然見られない。だが、最近またレンタルビデオを借りるようになり、BDもかなりレンタルしやすくなっているのを見ると、せっかくハイビジョンテレビを持っているならBDでハイビジョンの映像を見たくなる。

 そう思って、HDD/BDレコーダーで簡単にカミさんの希望を満たせないか調べた。

 (次回につづく)

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2008/12/30

水星を見た

 私も小学生の頃は、星を観察するのが好きだった。月に1度は市営のプラネタリウムを見にいったものだった。

 そして中学生のとき、通っていた学校が校舎を建て直した際に、屋上に30cm級の大型天体望遠鏡を設置した。ドームまで設置してある本格的なやつだ。

 担任の先生が理科の先生で天体望遠鏡の管理者だったこともあり、何かとお願いしては使わせてもらった。太陽の黒点観察や夕方の金星観察など。夏休みには泊りがけで観察したこともあった。

 ところが、そんな天体観測が大好きだった時、見たいと思っていてとうとう見れなかった星があった。それが “水星” だった。

 金星は、比較的高い位置まで登り、かなり明るいこともあって、見つけやすい。それに比べると、水星はあまり高い位置に上らないため、地平線付近の雲に隠れやすい等で、見える機会がかなり限られる。

 さて、私の子供も学校で星のことを勉強する歳となり、最近毎夕、星を観察している。

 私も昔を思い出しながら一緒に観察をしていると、南西の空に明るく “宵の明星” が輝いていた。さらに西のほうを見ると、細い弓なりの月とその上に別な明るい星が見えた。もう少し暗くなると、月の下側にもう一つ明るい星が瞬いてた。

 「これは、もしや?」 と思い、さっそくインターネットで調べてみた。

 最初に見つけたのは、金星と木星の接近のニュースだった。どうやら、月の上の明るい星は木星のようだ。

 木星は何度となく観察しているし、中学生の時は大望遠鏡で大赤斑も観察している。ちなみに、土星の輪も大望遠鏡で観察済みだ。

 ところが、月の下の星の情報がない。そこでふと思いついて、星図情報を検索してみた。

 すると、フリーの星図表示ソフトが見つかった。

Stella Theater Lite Ver2.66

 すぐにダウンロードをして、インストールした。使い方は簡単で、すぐにわかった。表示される星図も、既定値は “東京”+“現在時間” だった。

 そこで、西の空を見てみると、月と木星があり、その下に・・・、やっぱり “水星” があった。これでまた、忘れていた子供の頃の夢がまた一つ、思いがけない形でかなった。

 セミの羽化といい、女王アリの捕獲といい、子供のときに見たかったりやりたかったりしたことが、自分の子供をきっかけにして、何十年も経ってから実現することになるとは、なんとも不思議な感覚である。

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2008/10/11

ノーベル賞受賞報道から思うこと

伊東 乾の「常識の源流探訪」
日本にノーベル賞が来た理由
幻の物理学賞と坂田昌一・戸塚洋二の死

 伊東 乾
  NBonline [2008年10月10日]

 賞を取ったことは素晴らしいことだし、それにふさわしい業績を上げたからこその受賞なのだから、受賞に関しては私も何も言うことはない。

 ただ、ここ数日、ノーベル賞を取った人たちが、やたらとテレビ番組で多く取り上げられている。あいかわらずの、マスコミによる横並び報道に、うんざりした思いでそれらを見させられている。

 上記の記事でも書かれていることだが、日本はやたらとノーベル賞を特別視する傾向にあるようだ。以前読んだ別な記事には、「今は、ノーベル賞よりも権威のある賞も、賞金が高額な賞もいくらでもある。」 と書いてあった。

 また、ノーベル賞のおひざもとのノルウェーやスウェーデンでは、テレビ番組などでよくノーベル賞の選考会がおちょくられて、パロディーにされているという話も見聞きしたことがある。ヨーロッパの人たちにとっては、日本人ほどノーベル賞を特別視していないということらしい。

 そして、上記の記事で思い出したもう一つの問題は、

国内問題山積のまま、海外に出て行った人に何か賞なぞが出ると、すぐに「日本が、日本人が」と騒ぐ。

という部分に代表されるような、画期的なことを積極的に評価しようとしない日本社会の体質だ。その体質が、近世以後のものなのか、はるか大昔からのものなのかは、私にはわからない。しかし、私が物心ついた頃には、「出る杭は打たれる」、「前例踏襲」、「異質は排除する」 といった考えが、日本においては常識になっていた。

 私もどちらかというと “異質” の方に分類される。成人してから同窓会で再会した小学生のときの担任の先生に、「お前は人一倍変わってたからな」 と言われ、大学生のときに途中から海外留学に行ってしまった指導教官から手紙で 「変わり者が多い学年の中でも特に変わり者の○○君へ」 と名指しで言われたほどだ。

 そんな私の性格・気質のせいなのだろう、望んで入社した日本有数の大企業では、2年しかいられなかった。周囲は扱いにくそうだったし、私の居心地も悪かった。

 私がそれなりの業績を上げられた(と、少なくとも自分では思っている。)場所は、結局転職後の米国資本の企業だった。特に、米国で現地の人たちと働いている時は、自分が驚くくらいに、自分を高く評価してくれた。

 そんな経験もあってか、『日本を飛び出して欧米で活躍』 というニュースにはぜんぜん違和感を感じない。

 異質なものを排除して、均質な状態で安定したモノ作りを行うことも、重要なことだ。そうやって、明治維新以降と敗戦後に、日本は大きく成長することが出来た。

 しかし最近は、安定というよりむしろ “停滞” とい言葉がぴったり来るような状況のように、私には思える。

 そういう状況においては、異質なもの “異端者” が社会の変革を促して、新たな成長と新たな安定をもたらすことが期待される。幕末の時のように。

 ただ、変革の時期はきわめて短く、異端者たちも、たいていは不遇な最後を遂げていることが、私にとってはあまりうれしくないところでもある。

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2008/10/03

算数が解けない思考とは

 最近、テレビ番組のバラエティでは、“おバカ” を売りにしているタレントが人気だ。どこかの記事で、「最近のプロデューサーの一番重要な仕事は、おバカキャラのスケジュールを抑えることだ。」 という記述を見たことがあるくらいだ。そのくらい、おバカキャラを出演させるだけで視聴率が稼げるらしい。

 私自身は、おバカを売りにしているタレントは好きではないのだが、ご他聞に洩れず私の子供もおバカキャラが大好きだ。先日も 『ヘキサゴン スペシャル』 なる番組を夢中で見ていた。

 その時は、たまたま子供と一緒になんとなく見ていた。

 すると、「東京タワーとCDケース10万枚を比べると、どちらがどれだけ高いか」 という問題を、おバカキャラたちにやらせていた。

 私は、間違った解答をしたタレントの解答の手順を聞いて、「あっ、算数・数学が苦手な人は、こういう思考をするんだ」 という点に気がついて、ちょっとだけ感動した。ちなみに、その間違ったタレントは “現役女子大生” という肩書きだった。感動と同時に、あらためて日本の将来がちょっぴり心配になったの内緒だ。

 さて、私がどういうことに気がついて、感動したかといえば、

「二つの数値を比較して、桁が一致しなかったから “なんとなく” 片方に0を増やした」

という自らの解説だった。

 数学や科学、事件の推理 には、この “なんとなく” というのは最もやっていけないことだ。

 余談になるが今週のCBSドキュメントでは、殺人の冤罪で17歳のときに刑務所に入れられ17年後に無罪になる話を放送していた。冤罪の原因になったのが、担当していた刑事の “思い込み・決め付け” によるものだったのは、インタビューを見れば明らかだった。「両親が殺されたのに冷静だったから、こいつが犯人に間違いない。」 (余談おわり)

 数学や科学は、事件の推理もそうなのだが、

一見すると奇妙に見えることでも、そこにいたるまでの道筋が論理的で矛盾がなければ、その奇妙に見えることは真実である。

ということが成り立つ。

 『奇妙さが不安になり信じられない』 か 『そこに至るまでの論理を信じる』 かによって、数学や科学とうまく付き合えるか・付き合えないかが決まってくる。

 おバカキャラがそこまで計算して “演じている” とすれば、それはすごいことだと思うのだけれど、中には本当に地で 『とんでも解答』 をするタレントもいるので、私にはとても見られたものではない。

 私にできることといえば、そういった “非論理的思考” の問題点を子供にちゃんと説明をして、子供には論理的思考が身につくように手助けすることだけだ。

 なにしろ、(一般に)子供は 『バカ』 が大好きなのだから。私も子供の頃は、ドリフターズの “8時だよ!全員集合!!” を毎週食い入るように見ていた。

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2007/12/22

技能オリンピックの意義がわからない

技能オリンピック、日本はトップだったけど
 橋本久義
  NBonline [2007年12月10日]

 私も技能オリンピックでメダルを取った人たちの取材番組を少しだけ見た。あくまで私の邪推だが、「メダルを取れなかった人たちの取材もしていたが、“大人の事情” で放送しなかったじゃないのか」 、と考えているというのは秘密だ。

 さて、上記の記事を読む限りにおいては、技能オリンピック (正式には、“国際技能競技大会” というらしい) に、私は意義を見出せなかった。

 Wikipedia によれば、「参加国の職業訓練の振興と参加者の国際親善・交流を目的としている」 らしい。「参加者の国際親善・交流」 というのは、まあ、意味があるだろう。しかし、「参加国の職業訓練の振興」 というのは、いささか疑問だ。

 記事に書いてあるとおり、競技内容と、今現在現場で使われている技術に大きな乖離があるならば、「職業訓練の振興」 につながるのか、はなはだ疑問だ。

 22歳という年齢制限も私にはよくわからない。本当に生産技術の高さを競うのであれば、年齢は関係ないはずだ。たとえば、深絞り技術ならば、ロケットの噴射口をほとんど作っている日本に勝る国はない。

 しかし今のままでは、競技者の育成にお金を回せる大企業の名誉や宣伝のためのだけのものとしか思えない。もっとも、「それが最初から目的だ」 といわれてしまえば、それまでなのだが……。

 技能オリンピックで金メダルを取れるだけの能力があるならば、実際の生産現場においても、高い能力を発揮できる可能性が高いと思う。そして、生産現場で能力を発揮したほうが社会に対する貢献度も多いはずだ。そう考えると、単に競技のためだけの技術に、5年も6年も能力を使っているのは、「モッタイナイ」 と思えて仕方がない。

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2007/10/07

「増加は不要」 ということは、「増加が必要」ということ

司法試験合格「増加は不要」=業務拡大悲観的、危機感浮き彫り-弁護士アンケート
 時事通信社 [2007年10月6日]

 “弁護士” の増加の是非を、当の “弁護士” にたずねたら、そりゃ 『いらない』 と答えるだろう。こんなアンケートに、何の意味があるのだろう。私には、理解できない。

 「あなたの競争相手が増えますけど、賛成ですか?」 と聞かれたら、そりゃ、弁護士でなくとも 『いらない』 と答えるでしょう。自分の仕事および収入が減る可能性が高くなるのだから。

 往々にして、関係者が反対するものは、実行したほうがいい場合が多い。このケースでも、反対する弁護士達が多いほど、もっと弁護士を増やしたほうがよい、と私には感じた。

 弁護士本人達が、「国民生活に悪い影響を与える」 と考えるほど、悪い影響が出るとも思えない。多少の副作用は出るだろうが、全体としてみれば、優秀な弁護士が増えて、適正の低い弁護士が淘汰されていることになるだろうと、私は予想している。

 逆に、役人と政治屋は、もっと減らすべきだとも思っている。

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2007/09/14

お金で解決して、それで済むのか

 最近、アリの巣観察 がすっかりお休みしている。飼っているアリたちは、現状で満足して、新しい行動を起こさなくなっているのでしょうがない。それでも、子供の夏休みの自由研究の題材になってくれたので、助かった。

 さて、自由研究といえば、子供の自由研究や学校のレポートを代行する商売が、繁盛しているらしい。

金で解決…親も子供も宿題丸投げ 代行業者が繁盛
 Sankei WEB [2007年9月1日]

 需要があるから供給する人たちがいるのは、資本主義では当然だ。安くない費用を使ってでも、子供に楽をさせたい、子供にいい成績を取らせたいと、親は課題を代行業者に任せる。日本はまだまだ裕福のようだ。

 月並みな意見になってしまうが、「自分がやってこそ価値のある宿題やレポートを、他人にやってもらい、結果だけをなにもわからずに受け取るのは、将来的に見れば、実に損をしている」 と、私は心のそこから思っている。

 代行業者を使う親の中には、「この子は、会社のオーナーを継ぐことが決まっているので、他人の成果を確認できれば、なにも困らない。」 などと、本気で思っている親がいそうで怖い。

 仮に、人を使う立場になることが確定していたとしても、使われる立場や、担当者が実際に行う作業や流れを自分で経験しなければ、おそらく、優れた経営者にはなれないだろう。小さい頃からなんでもやってもらってきた人間では、重役や社員にごまかされて、自分の会社を傾かせるのがオチである。

 私は大学時代に、宿題やレポートをかならず自分でやった。当たり前のことなのだが。しかし、周りには、優秀な学生からレポートを借りて、少しだけ手を加えて提出したり、ひどい学生になると、誤字脱字までそのまま書き打ちして出したりしていた。

 先生方も素人ではない。「レポートを読めば、それらを世代順に並べることが出来る」 と自慢げに話していた。(笑)  つまり、先生方にはすべてお見通しなのである。

 宿題やレポートをすべて自分の力でこなしたおかげで、私は学んだことをよく理解できたし、大雑把なことは今でも覚えている。

 その反面、日常生活について、私は周り、特に両親に、ほとんどなんでもやってもらっていた。高校、大学、就職までは、ほとんど学校が準備してくれた仕組みに乗ってきたと思う。そのために、いまだに周囲が何かしてくれるだろう、という “待ち” の気持ちが強い。

 その反省も含めて、自分の子供には、なんでも自分でやるように仕向けている。最初にやるときは、一緒にやる。そして、二回目以降は、極力自分ひとりでやらせるようにしている。

 それが将来、子供が社会に出て、一人で生活をする時に、きっと役に立つと信じている。何事も自分でできるという自信を持つことで、様々なチャンスに挑戦できる。そんな人間に成長して欲しいと願っている。そのためには、厳しいがために多少嫌われても仕方がないと、覚悟している。

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2007/05/24

【記憶に残る数学問題 1】 タバコを合計何回吸えるか?(解答編)

 前日の問題の解答である。まだ、問題を読んでいない場合は、先にこちらの問題から読んでいただきたい。

 さて解答だが、個人的には二つあると、私は思っている。私がこの問題を知ったときの正解は、後者の解答だと書かれていた。しかしながら、一般的な思考であれば、私は前者であっても正しい答えだと思っている。

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解答 1: (普通の人の解答)

  1. まず、一箱20本のタバコを全部吸う。(吸った回数:20回、吸殻20個)
  2. 吸殻20個のうち18個から6本のタバコを作って吸う。(吸った回数:26回、吸殻2+6個)
  3. 吸殻8個のうち6個から2本のタバコを作って吸う。(吸った回数:28回、吸殻2+2個)
  4. 吸殻4個のうち3個から1本のタバコを吸って吸う。(吸った回数:29回、吸殻1+1個)

 結果、

“タバコを29回吸うことができて、吸殻が2個残る”

という答えも、私は正解だと思っている。この考え方が一番自然だと思うからだ。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

解答 2: (ちょっと変わった人の解答)

“タバコを29回吸うことができて、吸殻が2個残る”

までは、解答 1 と同じだ。

 さらにその後に、誰か別な人から “吸殻を1個” 借りてくる。すると、吸殻は3個となり、1本タバコが作れる。これを吸うと、

“タバコを30回吸うことができる”

となる。

 そして、最後のタバコを吸うと、“吸殻が1個” できるので、これを借りた人に返せば、差し引きゼロとなる。

 というのが、私が読んだ正解だった。たしかに、うまい解決策だと感心させられたが、同時に何か、うまくごまかされたような気がしたのも事実だ。

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解答 3: (数学オタクによる解答)

 高校生時代の先輩に、この問題を出したことがあった。その先輩は、数学オタクだった。そして、その先輩が出した答えが、この画期的な解答だった。この問題が忘れられない問題となったのも、この解答を示されたためだ。

  1. 最初に20本
  2. 次は20本の1/3
  3. 三回目は20本の1/3の1/3
  4. ・・・

という形で無限にタバコを吸っていけば、一箱すべてのタバコを吸った回数を計算できると、その先輩は考えた。

 これは、初項が 20 で、等比が 1/3 の “等比級数” の無限和を計算することに等しい。初項 a、等比 r で -1< r <1 の場合、

Shiki00

が成り立つ。a=20、r=1/3 なので、これを代入すると、

Shiki01 Shiki02_1

となる。これを計算すると、

Shiki03

となり、なんと “解答 2” と同じ “30” となる。

 この一件で、数学の奥の深さを教えられたような気がした15の春だった。

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2007/05/23

【記憶に残る数学問題 1】 タバコを合計何回吸えるか?

 私も人並みに、高校、大学と受験を経験している。その時代は、様々な問題集を解いたり、模擬試験を受けたり、基礎学問に関する本を読んだりした。そんな経験の中で、とても印象に残る、いつまでも忘れることのできない問題というものがある。

 もっとも、記憶に残る問題というのは、たいてい雑学に近い本に書かれていたような気がする。純粋に受験対策の問題というのは、無味乾燥で記憶に残らないものだ。

 ということで、第1回目。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

問題:

 一箱 20本入りのタバコがあったとする。

 タバコ1本を完全に吸うことはできない。かならず 1/3 が吸殻として残る。

 吸殻 3つ で、タバコ1本を再生することができる。

 再生したタバコを吸うと、また、吸殻が残る。

 このようにして、タバコを吸っては、吸殻を集める。集めた吸殻からタバコを再生して、また吸う。これを繰り返すと、一箱 20本入りのタバコ一箱で、タバコを最大何回吸えるか?

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

というのが今日の問題。

 答えは、明日の記事で発表する予定。

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