クエン酸 vs スルファミン酸
今回はきれいな話ではないので、まずお断りしておく。
我が家のトイレもご他聞に洩れず、底の部分が黄色い沈殿物で汚れていた。カミさんは、その汚れを見るのが大嫌いなので、トイレのタンクのほうに青い洗浄剤を入れている。洗浄剤を入れたところで、沈殿物が消える気配はなく、むしろ広がっていく一方なのだが、濃い青色でとりあえず底の汚れが見えにくくなる効果はある。
ある日、ふとトイレの黄ばみについて検索してみたところ、それが 尿石 であることを知った。便器にがっちりとこびりついているため、普通にブラシで磨いても落ちないらしい。現に、これまで何度も、いろんなトイレ洗剤を試してみたが、落とせなかった。
そして、尿石を効率よく除去する方法として “サンポール” がよいことが、あちこちのサイトで紹介されていることを見つけた。
サンポールには、9.5%の塩酸が含まれており、その強力な酸性により尿石を化学反応で溶かして、除去するようだ。
私もサンポールを使えば、苦労せずに尿石を除去できるのだが、それでは面白くない。私の好奇心を満たさない。
そこで、自分の回りにある洗剤や洗浄剤を片っ端から調べていった。
すると、今まで気がつかなかったのだが、すべての洗剤・洗浄剤が、中性もしくはアルカリ性であった。なるほど、これでは尿石が落とせないはずである。
家の中で酸性のものを考えると、いくつか思いついた。
まずは、お酢 だ。便器の底の水をくみ出し、お酢を1カップほど便器の中に流し込んで、しばらく放置してみたが、尿石が溶ける様子は見られなかった。以前に、お酢で卵の殻を溶かす実験を子供とやったことがあるので期待したのだが、お酢では酸性が弱いようだ。
次に、料理に使うレモン果汁を思いついたが、これは単価が高すぎるので、使わないことにした。
そして、クエン酸 を思い出した。お風呂場などを掃除するために、クエン酸は常備している。ただし、クエン酸は顆粒状で、そのままトイレに投入しても溶けそうになかったので、一度手鍋で温めた水に完全に溶かした後に、トイレに流し込んだ。
クエン酸を投入して30分ほどしてから、ブラシでこすってみると……。「パリッ」 っと、何かがはがれるような小さな音がした。もう少しこすってから、きれいな水で洗い流してみると……。明らかに、尿石の面積が少なくなっていた。
ただし、すべてが除去できたわけではなく、尿石の周囲の部分が5分の1ほど除去できた程度だった。
それから数日後に100円ショップに行った際、何かもっと強力な酸性のものはないかと探していたら、『ポット洗浄剤』 なるものが目に付いた。成分を見ると 『スルファミン酸(酸性)』 とあった。
ポットには、水道水が蒸発した際にミネラル分が残る。析出したミネラル分、主に炭酸カルシウムを除去するためにクエン酸がよく使われるが、この洗浄剤はスルファミン酸を使っていた。
4回分100円と安いものだったので、さっそく買ってきて、まずはスルファミン酸について、簡単に調べてみた。すると、酸性の強度を示す “酸解離定数” から、スルファミン酸がクエン酸より強い酸であることがわかった。
さっそくスルファミン酸をお湯で溶かして、トイレに流し込んでみた。
30分放置後、ブラシでこすってみると、やはりクエン酸のときと同様に 『パリッ、パリッ』 と小気味よい音がする。
一通りこすり終えて、水で流してみると……。クエン酸のときよりも効果が大きく、半分ぐらいの尿石が消えていた。
この調子で、何度か繰り返せば完全に除去できると思われるが、とりあえず上から見える部分の尿石を除去できたので、これ以上は行わないことにした。
何しろ、酸を加えて30分~1時間放置する必要があるため、タイミングが重要になる。できれば、私以外の家族が外出しているときにやりたい。夜寝ている間に放置することも考えたのだが、何しろカミさんも子供もよく夜におしっこに起きるので、夜中の放置は危険すぎるのだ。
正直に言えば、サンポールを使ったほうが、おそらくもっと楽に尿石を除去できたように思う。ただ、もし家にクエン酸やポット洗浄剤が余っているようであれば、それらもトイレ掃除に充分使えることが確認できたことには、意味があると思っている。
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